ホルムズ海峡で25日、船舶1隻が正体不明の飛翔(ひしょう)体による攻撃を受けた。米国とイランが暫定和平に合意して以来、こうした攻撃が報告されたのは初めて。通航再開に向けた取り組みに大きな打撃となった。

攻撃を受けたのはシンガポール船籍の中型コンテナ船「Ever Lovely」。オマーン南東沖を航行中に船体側面へ命中し、船橋が損傷した。台湾の運行会社である長栄海運(エバーグリーン・マリン)が明らかにした。船舶追跡データによれば、この船は26日午前の時点でホルムズ海峡を出てオマーン湾に到達していた。

英国海事貿易機構(UKMTO)は攻撃発生から間もなく出した警報で、船舶に対し「注意して航行するよう」と勧告した。同機構は軍と商船の連絡調整を担うほか、国連主導でペルシャ湾から船舶を脱出させる取り組みを支援している。

今回の攻撃を受けて、原油価格は上昇に転じた。それまで戦争開始前の水準まで戻っていた流れから一転、北海ブレント原油先物は一時1バレル=76ドル近くまで上昇した。

イラン外務省はコメント要請に直ちには応じなかった。

一方、ホワイトハウス当局者は匿名を条件に、どの勢力が船舶を攻撃したかを現時点で断定するのは時期尚早だと述べた。米国は攻撃を行ったのがどの勢力なのかを調査しており、IRGC上層部の指示による攻撃だったのか、それとも現場の隊員による独断だったのかも含めて確認を進めていると説明した。また、死者や環境への影響は確認されていないという。

トランプ米大統領は25日夜にホワイトハウスで開かれた農業関係者との夕食会で、今回の事案には言及しなかったが、イランが近く米国産小麦と大豆を購入するとの見通しを示した。「その手続きは間もなく始まる。規模もかなり大きくなるだろう」と語った。

ホルムズ海峡の通航続く

今回の攻撃によって通航の安全性への信頼が揺らいだものの、26日もホルムズ海峡では船舶の通過が続いた。イランはこれまで繰り返し、自国の許可なしに船舶はホルムズ海峡を通航できないと主張している。またこれに先立ち、イラン海軍から海峡を通航すべきではないとの警告を受けたとされ、複数のタンカーが引き返していた。

イランがホルムズ海峡の通航管理のために設置した「ペルシャ湾海峡庁(PGSA)」は25日、同当局の枠組み外で行われる通航については、保険適用や安全通航保証の対象外になると表明した。

米国とイランの暫定和平合意が先週発効して以降、ホルムズ海峡では船舶が相次いで航行を再開し、数百万バレル規模の供給が急速に市場へ戻っていた。湾岸地域のエネルギー生産国も、ホルムズ海峡の物流が維持されているとの見方を背景に、生産拡大を始めていた。

25日の攻撃を受けて、国連の国際海事機関(IMO)は、ホルムズ海峡で実施している退避支援活動を一時停止すると発表した。

ここ数週間で、ホルムズ海峡の主要な通航ルートは二つに分かれている。通常利用される中央ルートには機雷が敷設されたとみられているためで、一つはイラン沿岸寄り、もう一つはオマーン沿岸沿いだ。後者は米国の保護下にある。

超大型タンカーがUターン

この事件の数時間前、超大型原油タンカー2隻を含む少なくとも3隻の商船が、オマーン沿岸寄りの航路を利用してホルムズ海峡から外洋へ向けて航行しようとしていたものの、途中で引き返したとみられる。海運情報会社ウィンドワード・マリタイムは、IRGCが無線通信やソーシャルメディアを通じて船舶に引き返すよう指示した後、これらのUターンが発生したと説明した。

ブルームバーグがまとめた船舶追跡データによると、全ての船舶が引き返したわけではなく、一部はオマーン沿岸ルートをそのまま航行した。イランのメディアは、イラン政府がホルムズ海峡通航に対する管理権限を改めて行使していると報じた。

ホルムズ海峡の通航量は、米国とイランの和平に向けた暫定合意が先週発効した後、急速に回復してきた。

原題:Ship Struck in Hormuz as Oil Supertankers Turn Back Again (5)(抜粋)

(第2段落に攻撃を受けた船舶の情報を加えて更新します)

--取材協力:Weilun Soon、Sara Gharaibeh、Ruth Liao、Jack Wittels.

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