・国勢調査の分析で、日本の女性の職域拡大と専門職化の実態が判明

・法改正や高学歴化を背景に、医師や建築など「男性職」への進出が進展

・一方で「女性職」への男性進出は限定的で、職業内の格差解消が今後の課題

近年、女性のキャリア採用市場が量・質の両面で改善している。その背景には、女性の専門職化と職務の高度化の進展がある。しかし、「女性の専門職化」が進んだと言っても、その実態は必ずしも明確ではない。

例えば、医師や弁護士、建築技術者のように従来は男性が多数を占めていた職業に女性が進出した結果なのか、それとも看護師や保育士など、もともと女性が多かった専門職に就く女性がさらに増えた結果なのかによって、その意味合いは大きく異なる。また、専門職の内部にも依然として性別職域分離が存在し、女性が多い職業ほど相対的に賃金水準が低いことも指摘されてきた。そのため、女性の専門職化を評価するには、単に専門職就業者が増えたかどうかだけでなく、どの職業で女性が増えたのかを確認する必要がある。

女性の職域拡大を後押しした要因としては、1999年の改正男女雇用機会均等法による採用機会の拡大や、女子の高学歴化による人的資本の向上が挙げられる。こうした変化の中で、従来は「男性の職場」と考えられてきた職業にも女性が進出してきた可能性がある。

そこで本稿では、改めて女性の職域拡大の背景を整理した上で、総務省統計局「国勢調査」を用いて、過去25年間にどのような職業で女性が増えたのかを検証する。特に、専門職・技術職の内部に着目し、「女性の専門職化」が女性職への集中によるものなのか、それとも男性職への進出によるものなのかを明らかにしたい。

女性の職域拡大の背景

1)法制度による女性の職域拡大の推進

本稿は国勢調査の実施年に合わせて、1995年から2020年までの25年間を分析対象期間とするが、その間に1999年の男女雇用機会均等法改正があり、企業に対し、募集・採用における男女均等が、それまでの努力義務から義務に強化された。これを受けて、多くの企業・団体が幅広い職種で女性の採用を増やし、それまで「男性の職場」と思われていたフィールドにも女性が増え始めた。性別職域分離が起きるのは、企業側と求職者側、双方に要因があると考えられるが、法制度による女性採用への圧力が、企業側の「これは男性の仕事」「これは女性の仕事」という性別による選別を困難にし、採用の在り方を変えたと考えられる。法改正による労働需要側の行動変化である。

2)女子学生の人的資本の向上

一方、女子学生の人的資本の観点から、女性の職域拡大に資すると考えられるのが、女子の進学率の上昇である。戦後、大学進学率には大きな男女差が開いており、1995年時点では男子が40.7%に対して女子が22.9%と、女子は男子の半分ほどだったが、2020年には男子が57.7%、女子が50.9%となり、大幅に男女差が縮小した。このような労働供給側の変化も、専門職への就職に貢献してきたと考えられる。