中国は台湾東方海域での領有権主張を強めようと新たな手法に乗り出している。交通運輸省の公船がパトロールを数日続け、この海域で外国籍の商船に対して初めて質問を行った。

台湾の海巡署によると、中国公船は航行中のシンガポール、リベリア、ベナン各船籍の商船3隻に無線で呼びかけ、出港地と目的地、乗組員数を尋ねた。

これは、中国が6日から実施しているとする海上交通に対する特別な「執法行動」の一環で、中国は自国領土の一部だと主張する台湾に対する圧力を強めている。

淡江大学(台北)の林穎佑副教授は中国側の行動について、「航行中船舶への無線連絡を通じ、台湾周辺海域が中国の管轄下にあるとの印象をつくり出そうとしている」と指摘し、こうした巡視は中国が台湾に対するより広範な「海上検疫」の一環として展開し得る手法の予行演習のように見えると語った。

海上検疫は通常、軍ではない機関が船舶の検査や迂回、航行制限を行うもので、戦争の閾値を下回るため封鎖よりもエスカレーションの度合いが低いと一般に考えられている。

アナリストらは長年、中国が台湾への圧力を強めつつ全面的な軍事衝突を避けようとする場合に起こり得るシナリオとしてこれを挙げてきた。

中国交通運輸省は10日、このパトロールが終わったと発表し、日本とフィリピンが台湾東方海域を対象とする海洋境界に関する協議開始で合意したことへの対応だと説明した。中国は、この協議が自国の主権を侵害するものだと非難している。

同省によると、中国南部の福建省と広東省の海事当局が巡視と海洋測量調査を実施した。1万トン級の巡視船「海巡09」が投入され、さらに巡視船、測量船、救助船の3隻が加わったという。

中国当局は198隻を検査し、不規則な運航3件を是正したほか、海底ケーブルが敷設された海域を点検したと明らかにした。台湾東方海域における中国の「海上行政執法管轄権」を行使することが目的だったとしている。

台湾海巡署は10日の声明で、中国側の主張を退け、台湾東方の排他的経済水域(EEZ)において中国は主権も管轄権も有していないと指摘。中国が台湾本島付近で外国船に無線で呼びかけたのは今回が初めだという。

台湾の顧立雄国防部長(国防相)は8日、中国公船による今回の活動は「挑発行為」で、「認知戦」を仕掛けていると記者団に語った。

台湾の巡視船は中国側の無線通信を傍受し、中国には当該海域に管轄権がないことを放送で伝え、商船に対して応答の必要はないと通知したという。台湾海巡署によれば、これらの船舶に対し立ち入り検査が行われたり、その他の妨害が加えられたりすることはなかった。

1日には中国海警局の船舶が台湾東方海域でパトロールを実施し、その際も日本とフィリピンの協議を理由として挙げていた。

原題:China Presses Taiwan by Querying Foreign Ships for First Time(抜粋)

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