(ブルームバーグ):トランプ米大統領は10日、「米国・メキシコ・カナダ協定(USMCA)」を延長しない意向を示した。自動車産業など主要分野を規定する条項を巡り、今後数カ月から数年にわたる交渉が行われる可能性が高まった。
3カ国はトランプ氏が政権1期目に交渉した同協定を現行のまま16年間延長するかどうか、7月1日に期限を迎える。ただ、トランプ氏は政権2期目で、隣国との貿易摩擦をエスカレートさせており、こうした延長はもともと見込まれていなかった。
延長されない場合でも協定は失効せず、毎年の見直しプロセスに移行する。一方で、いずれかの国が完全に離脱しない限り、最長10年間は効力を維持する。
トランプ氏はホワイトハウスで記者団に対し、「私は更新を考えていない」と発言。「正直に言えば、米国の方がはるかに有利だからだ。カナダが持っているもので米国が必要とするものはなく、メキシコについても同じだ。しかし、彼らは米国が持つあらゆるものを必要としている。彼らは米国をもっとよく扱わなければならない」と語った。
メキシコ、カナダ両政府にコメントを要請したものの、返答は得られていない。米国とメキシコの次回協議は今月に予定されており、その後7月に3回目の協議が開かれる見通しだ。一方、米国とカナダはまだ正式な交渉を開始していない。
メキシコとカナダは米国にとって1位と2位の貿易相手国であり、3カ国間の年間貿易額は約2兆ドル(321兆円)に上る。協定に適合する製品の多くは、トランプ政権による一連の関税措置の適用除外となっており、米国の消費者物価の抑制に寄与してきた。
トランプ氏は、協定からの完全離脱を検討しているかどうかについては言及しなかった。USMCAはいずれの加盟国も6カ月前に通告すれば離脱できる。
トランプ氏は協定の見直しと、自動車製造などの主要産業の国内回帰を推進しているが、その構想の全容は明らかになっていない。米通商代表部(USTR)は一貫して、協定本文の再交渉に応じる用意があるかどうか明言を避けている。協定本文を改定する場合、ほぼ確実に米議会での採決が必要となる。
その代わり、協議は2国間の付随的な合意にフォーカスしている。交渉ではカナダとメキシコが譲歩する見返りに関税の軽減措置を得られるかどうかが中心テーマとなる見通しだ。特にトランプ氏が発動した1962年通商拡大法232条に基づく自動車、鉄鋼への関税措置が焦点となっている。
メキシコは、現在の関税制度によって自国の自動車産業が不利な立場に置かれていると主張。日本や韓国が米国との包括的な通商合意により、自動車への関税率が15%となっている点を挙げている。
メキシコ、カナダから米国への自動車輸出には現在、車両のうち米国外で生産された部分に対して25%の関税が課されている。自動車部品については現時点で同様の関税は適用されていないが、米国は同種の措置を導入する可能性を示唆している。
原題:Trump Says US Won’t Renew USMCA, Signaling Yearly Reviews (1)(抜粋)
--取材協力:Josh Wingrove、Brian Platt、Carolina Millan.
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