約35%の学生が制限時間内に投稿

今では講義中にBeRealの通知が教室に鳴り響き、撮影を始める学生がいるらしく、教授が「講義中にBeRealを撮るな」と一喝するそうだが、それでもSNS上では授業中に限らず、試験中やアルバイト中に撮影した、といった投稿も散見される。株式会社マーケティングアプリケーションズの「SNSに関する調査」によれば、授業中やアルバイト中に撮影したことがあると回答した人はBeRealが49%、Instagramが28%、TikTokが40%とBeRealは半数近くにも及ぶ。

TPOを考慮せず、「今通知が来たから、今撮らなくてはならない」という縛りがある故に、撮影のタイミングを選ばない人や、そのような状況で撮るという刺激を楽しんでいる人を生んでいるようだ。その結果、集中している隣で撮影を始めたり、通知音がうるさいなど、それらも十分迷惑ではあるのだが、場所を選ばずに撮影する事が社会問題になっている。ITジャーナリストの高橋暁子が大学生を対象に行った「BeRealについての調査」では、BeRealで通知が来たときにどうするかについて聞いているが、「通知がきたら、必ず制限時間内に投稿する」は6.6%、「通知がきたら、なるべく時間内に投稿する」は27.8%と、約35%の学生が制限時間内に投稿しているようだ。

インカメラで撮影するのは大抵の場合、自分自身であり、(自分の映り具合を含めて)画角に写るモノに対して比較的細心の注意を払うことができるが、アウトカメラの方に写る対象においては、そこまで気がまわっていないように思われる。例えば、更衣室や脱衣所などで撮影したり、バイト中に撮影したことで機密情報が写り込んでしまうと言った事案が生まれている。また、そもそも通知が来たタイミングによっては、不特定多数がいるところで撮影する必要性が生まれるため、映り込みなどによる肖像権の侵害や、プライバシー権の侵害に当たる可能性もある。写り込んだ相手が知人であったとしても、公序良俗に反する行為を行っている証拠などが写り込んでしまえば、デジタルタトゥーや炎上の火種になりかねない。また高橋の調査では、BeRealで困ったことを聞いているが、「他の人の投稿に映り込みなどがあり心配になった」が27.3%と、3割近くが映り込みに関して問題意識を持っていた。今回の炎上した3つの事例も個人情報を意図して載せていたのではなく、自分の視界に今あるものとしてたまたまそれが写りこんでいたにすぎない。実際に西日本シティ銀行の行員も、銀行の聞き取りに対し、「情報を流出する意図はなかった」と話している。

検閲なき“撮って出し”文化

BeRealによる情報漏えいが相次ぐ背景には、配信文化の浸透や「個人のメディア化」が進行しているためと思われる。ライブ配信やInstagramのストーリーズでは、目の前で起きている出来事をリアルタイムで他者に共有することが当たり前となっており、中には事故や事件などをまるで報道番組のように撮影して発信するユーザーも少なくない。

一方で、従来のSNS投稿には一定の「検閲プロセス」が存在していた。撮影した写真や動画を選び、必要に応じて編集し、投稿文を作成して公開するまでには複数の段階があり、その過程で映り込みや不適切な内容に気付いたり、投稿自体を思いとどまったりする余地があった。

しかし、BeRealやライブ配信やInstagramのストーリーズでは、ユーザーは十分な確認を行わないまま、その場の状況を「撮って出し」で共有される傾向が強い。結果として、機密情報や個人情報など、本来であれば公開を避けるべき情報が意図せず映り込み、そのまま拡散されるリスクが高まっているのである。