「反体制」から「防衛」へ――変容する国内世論と引き裂かれるコミュニティ
アメリカやイスラエルは、激しい攻撃や経済制裁がイラン国内の民衆蜂起を促し、体制崩壊につながることを期待していました。
実際に今年1月には大規模な抗議デモが起き、国民の間には神権政治や経済的孤立に対する強い怒りと嫌悪が残っています。
しかし、戦争という現実がその政治対立の構図を複雑に変容させました。
爆撃によってテヘランに酸性雨が降り、文化遺産であるイスファハンなどが脅かされる中、議論の軸は「体制を支持するか否か」から、「国を守るか、国が破壊されるリスクを冒すか」へとシフトしたのです。
反体制派の人々でさえ「今は国内で争っている場合ではなく、国を支持すべき時だ」と集会に参加し、国旗のもとに団結しつつあります。
結果として、トランプ大統領が望んだような早期の政治的蜂起は起きておらず、戦争が終わるまでは起きる兆しもありません。

一方で、この戦争は国外のイラン人コミュニティに深い爪痕を残しています。
ナスル氏自身、1979年の革命時に父親(著名なイスラム学者でありながら、シャーの政府に関わっていたためターゲットとなった)と共に財産を没収され、アメリカへ逃れた亡命者です。
9.11テロ後のイスラム教徒への風当たりの強さを生き抜いてきた同氏ですが、現在の状況は当時と同じか、それ以上に困難だと吐露します。
海外のイラン人コミュニティや家族の間では、「体制を打倒するためなら、たとえイランが分割され破壊されても戦争を支持する」という過激な声と、「祖国の破壊は容認できない」とする声との間で激しい摩擦が生じており、友情や家族の絆が次々と引き裂かれているのです。