(ブルームバーグ):一握りの人工知能(AI)関連銘柄が先導してきた日本株の上昇相場に息切れの兆しが見えてきた。有効性が高かったモメンタムファクターが解消に向かい、相場の主役がAI関連株からバリュー(割安)株に移る可能性がある。
直近の株価パフォーマンスが良い銘柄を買い、悪い銘柄を売るモメンタム戦略は、ブルームバーグがモニターする11のファクターの中で年初来パフォーマンスが最も高い。背景にあるのがAI・半導体関連株への集中投資だ。しかし、世界的な金利上昇がAI関連などのグロース(成長)株の重しとなり、その優位性に陰りが出てきた。
19日には電線株や半導体関連株が下落した一方、銀行株や知的財産(IP)関連といった出遅れ銘柄が上昇し、モメンタムは最も弱いファクターになった。代わってバリューや配当といった、日本市場で伝統的に有効性が高いものの直近で低迷していた戦略が上向いている。
三井住友トラスト・アセットマネジメントで日本株式モメンタムファンドを運用する江口大陽シニアファンドマネジャーは、株価上昇を受けて一部のAI関連株は好材料に反応しづらく、悪材料に大きく反応しやすくなっており、モメンタム相場の段階的な巻き戻しが始まりつつあるとみる。
こうした中、モメンタム銘柄を売って相対的に出遅れている好業績のバリュー株などに資金を振り向ける動きが出そうだと、りそなホールディングスの武居大暉ストラテジストは話し、モメンタムファクターの効果は「いったんストップする」と読む。
ただ、高流動性、高モメンタム株が相場をけん引する状況が変わる可能性は低そうだ。みずほ証券の波多野紅美シニアクオンツアナリストは、出遅れ株の戻り待ちスタンスが機能せず、「一極集中の相場に戻るという流れが続いている。ここ1、2年の相場によって、モメンタム株に乗らないと相場に乗り遅れるという感覚が染み付いているようだ」と語った。
このため、モメンタム銘柄への投資を工夫して巻き戻しの局面を乗り切ろうという投資行動が見込まれる。ジェフリーズ証券シニア・クオンツ・ストラテジストのシュリカント・カーレ氏はリポートで、「AIは依然として構造的な変革テーマであるものの、高いボラティリティーへの注意と分散投資が必要だ」と指摘し、低リスクで業績の裏付けがあるモメンタム銘柄への投資を推奨している。
三井住友トラストアセットの江口氏は、個人投資家や海外勢の資金流入でモメンタム戦略は引き続き有効との見方を示した上で、キオクシアホールディングスなど短期モメンタム銘柄を保有する一方、1年や3年といった中長期でモメンタム効果が狙える銘柄も組み入れて分散投資効果を狙い、急落リスクに備えている。
--取材協力:佐野日出之.
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