日本銀行は、来月の金融政策決定会合で行う国債買い入れの議論に向け、きょうから市場参加者との意見交換を始める。長期金利の上昇が続く中、今後の買い入れ減額の是非やペースが焦点となる。

21日と22日に債券市場参加者会合を日銀本店で開く。会合には、銀行や証券会社、機関投資家などの実務担当者が参加する。意見を踏まえて6月15、16日の決定会合で国債買い入れの減額計画の中間評価を行い、先行きの購入方針に反映させる考えだ。

植田和男総裁は4月の決定会合後の会見で、国債買い入れの減額計画と政策金利に関する判断は「それぞれ別々に適切に判断したい」と語った。しかし、物価の上振れリスクの高まりを背景に、同決定会合での利上げ観測も高まっている。足元の債券市場が不安定化しており、国債買い入れも難しい判断を迫られそうだ。

日本銀行本店

ブルームバーグ・エコノミクスの木村太郎シニアエコノミストは、長期金利が神経質な中で、「日銀が減額ペースの再縮小を決めれば、安心感から長期金利の低下圧力となる」とみる。一方で、政府の圧力による政策修正と受け止められればインフレ予想が不安定化し、「金利上昇圧力が生じる可能性はある」との見方を示した。

市場機能

参加者会合では、債券市場の動向や機能度のほか、現行計画の見直しの必要性、27年4月以降の買い入れペースなどが議論になる見込み。中東情勢の緊迫化を受けた世界的なインフレ圧力の強まりなどを背景に国内金利の上昇が続く中、市場からどのような意見が示されるか注目される。

25年6月に決めた現在の減額計画では、四半期ごとの減額幅をそれまでの4000億円程度から2000億円程度に緩めた。それでも月間の購入額は、減額前の約6兆円から27年1-3月に2.1兆円程度に縮小する。減額は円滑に行われており、市場機能度の向上の観点からも現行計画の維持が支持される可能性が大きい。

日銀が20日に公表した債券市場サーベイの5月調査によると、債券取引が市場で円滑に行われているかなどを示す機能度判断DIがマイナス16となり、前回2月調査のマイナス26から改善した。足元の金利上昇も、インフレや財政拡大観測などを背景に市場における自由な金利形成を裏付けているともいえそうだ。

ポイントは27年4月以降の買い入れだ。仮に現行の減額ペースを継続する場合、月間の買い入れ額は28年1-3月に1.3兆円程度まで縮小し、異次元緩和前の1.8兆円程度を下回る。昨年5月の参加者会合では減額の停止を求める声も出ており、今回は国債買い入れの「着地点」を意識した意見が増える可能性がある。

バランスシート

一方、長期金利が急激に上昇する場合には、国債買い入れの増額など機動的にオペを行うとしている日銀の姿勢に変化はない見通し。植田総裁は19日、訪問中のパリで会見し、「長期金利が速いスピードで上昇している」との認識を表明。動向を注視していく考えを示した。

国債買い入れの減額が進む中、市場参加者からバランスシートの適正規模に関する言及があるかも注目される。足元の日銀のバランスシートは約660兆円と名目国内総生産(GDP)に匹敵し、適正水準には依然として距離があるが、資産の大部分を占める国債の買い入れ減額の一巡感が議論を促すきっかけになり得る。

増一行審議委員は14日の講演で、日銀のバランスシートに関して「異次元緩和の前の水準まで縮めるべきかというと、必ずしもそうとは限らない」と指摘。金融機関への流動性規制の強まりなど中央銀行の準備預金に対するニーズの変化も踏まえて「適正なバランスシートの水準を目指して行くことになる」との見解を示した。

--取材協力:間一生.

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