新築マンション価格指数」でみる東京「23区の新築マンション価格
本章では、東京23区の新築マンションの販売データ(2005年~2025年)を用いて、品質調整をした「新築マンション価格指数」を作成し、その動向を把握する。
東京23区「新築マンション価格指数」の算出
(1) 「新築マンション価格指数」(年次)算出の結果
2025年の価格指数(2005年=100)は、前年比+14%上昇の「272.4」となり、過去最高を更新した。
東京23区の新築マンション価格の推移は、大きく3つのフェーズ4に分類できる。
現在は、2013年からスタートした上昇フェーズIII「アベノミクス以降の価格上昇局面」が継続している。

(2) 「新築マンション価格指数」と「平均価格・m2単価」(不動産経済研究所公表)の比較
「新築マンション価格指数」と不動産経済研究所が公表する「平均価格」および「m2単価」を比較すると、「平均価格」が前年比+22%上昇、「m2単価」が同+23%上昇したのに対し、「新築マンション価格指数」は同+14%上昇にとどまり、両者の間にかい離が生じる結果となった。
特に、2023年以降、「m2単価」は「新築マンション価格指数」に対して上振れて推移している。
マンションデベロッパーは、建築コストや用地取得費の上昇分を販売価格に転嫁しやすい東京都心部や主要駅前などのエリアを厳選し、マンション開発を行っているとの指摘がある。
そのため、供給エリアの偏りなどの影響を取り除いた「新築マンション価格指数」と「m2単価」とのかい離が拡大していると考えられる。


(3) 新築マンション市場を取り巻く需給環境
次に、東京23区の新築マンション市場を取り巻く需給環境を確認し、2025年の価格上昇要因について考察する。
不動産経済研究所によれば、東京23区の新築分譲マンションの新規供給は、2013年をピークに減少傾向が続いている。2025年の新規供給戸数は8,064戸(前年比▲3%)となり、2年連続で1万戸を下回った。
直近のピークである2013年(約2.8万戸)と比較すると、約3割の水準にとどまっている。

建設物価調査会「建築費指数」によれば、東京の「集合住宅(RC造)」の建築費は、構造的な人手不足や資材価格の上昇などを背景に、上昇基調で推移している。
特に2021年以降は上昇率の高まりが顕著で、2025年は「138」(前年比+7%)となり、直近5年間の上昇率は+33%に達している。

土地総合研究所「不動産業業況等調査」によれば、「住宅・宅地分譲業」における「用地取得件数」の動向指数は、2024年以降、マイナス幅が縮小傾向にあるものの、依然としてマイナス圏(取得件数の減少)で推移している。
デベロッパーによる開発用地の取得は引き続き低調な状況にあるなか、用地価格は上昇している。
三菱UFJ信託銀行「2025年度下期デベロッパー調査」(首都圏マンション・戸建)によれば、マンション素地価格について、半年前と比較して価格が上昇したとの回答は、都心6区では9割以上に達し、その他の都区部でも約6割を占めた。
人手不足などに伴う建築コストの高騰や開発用地価格の上昇などを背景に、マンションデベロッパーは慎重な供給姿勢を崩しておらず、新築マンションの新規供給は低水準で推移していると考えられる。
続いて、マンション需要に影響を及ぼす人口移動(日本人移動者)を確認する。
総務省「住民基本台帳人口移動報告」によれば、2025年の東京23 区の「転入者数」は34.6万人(前年比▲3.1%)、「転出者数」は30.1万人(同▲0.4%)、「転入超過数」は+4.5万人(前年比▲17.8%)となった。
東京23区への人口流入は、コロナ禍前の勢いには至っていないものの、「転入超過」を維持している。
こうした堅調な需給環境を背景に、東京23区の新築マンション価格は上昇基調を維持していると考えられる。

