22日の米金融市場では、S&P500種株価指数が3日続伸した。米国とイランの交渉進展への期待が相場を支えた。長期債利回りは低下した。一方、交渉の行方を見極めようとするムードも強く、原油相場は方向感に乏しい展開となった。

S&P500種は、イラン戦争を背景に付けた年初来安値から急反発してきた。週間ベースでは8週続伸となり、2023年以来最長の連続上昇となった。

外国為替市場では、ブルームバーグ・ドル・スポット指数が小幅高。円相場は総じて159円台前半で推移した。

イラン戦争の開始から3カ月近くが経過する中、イランは米国が提示した最新の提案を検討している。ルビオ米国務長官は、イランとの恒久的な和平合意に向けた交渉について、合意の見通しが依然不透明な中で「わずかな進展」があったと明かした。パキスタン軍の広報部門は、米国とイラン双方の重要な対話相手とされるアシム・ムニール陸軍元帥が、テヘランを訪問していると明らかにした。

インタラクティブ・ブローカーズのチーフストラテジスト、スティーブ・ソスニック氏によると、米国で3連休を控える中でも株式相場が上昇していることは、投資家のリスク選好姿勢をよく表している。

ソスニック氏は、「よりリスク回避的な局面であれば、投資家はリスクを減らし、持ち高を整理する動きが想定される」と指摘。だが、今回は「買い持ちを積み増す動きがみられ、和平が成立した際の相場上昇を取り逃したくないとの心理がうかがえる」と説明した。

米国とイランの交渉は、4月に停戦で合意して以降、膠着状態が続いている。市場関係者はイラン戦争による経済的影響を注視している。米ミシガン大学が発表した5月の消費者マインド指数は前月比で低下し、過去最低を更新した。長期インフレ期待も顕著に悪化した。

米連邦準備制度理事会(FRB)のウォラー理事は、イラン戦争に伴うエネルギーショックで物価が押し上げられる中、政策金利に関するFRBの次の動きについては、利下げと同程度に利上げもあり得ることを明確にすべきだとの考えを示した。

エバーコアのクリシュナ・グハ氏は、「ウォラー氏の最近の発言は、FRBのタカ派シフトを裏付けるものだ」と指摘した。一方で、「政策運営の姿勢自体は発言ほどタカ派ではなく、ウォラー氏は現時点では状況を見極める用意があるとしている」と述べた。

国債

米国債市場では短期債利回りが上昇した。ウォラー氏が政策金利に関するFRBの次の動きについて、利上げの可能性を排除せず、緩和バイアスを示す文言を削除することを支持する姿勢を示したことが背景。短期金融市場では、12月までの利上げが完全に織り込まれた。

ウォラー氏が発言するまで、米国債利回りはこの日の低水準近辺で推移していた。5年債から30年債までの利回りはいずれも1週間ぶりの低水準だった。イランと米国が和平合意に近づいているとの期待感から、投資家は数年ぶりの高水準にある利回りを確定する動きを強めていた。

30年債利回りは今週、2007年以来初めて5.20%に達したが、22日には5.06%に低下した。

BMOキャピタル・マーケッツのイアン・リンジェン氏は、「(米国とイランの)双方の要求には依然として大きな隔たりがあるように見えるが、対話が継続していること自体が一定の安心材料になっている」と述べた。その上で、「3連休入りを前に、中東情勢を巡るイベントリスクは依然大きい」と指摘した。

外為

外国為替市場では、ブルームバーグ・ドル・スポット指数が小幅高。主要10通貨(G10)の大半に対して上昇した。

ウォラー氏の発言や、ミシガン大学調査のインフレ期待が市場予想を上回ったことを受け、利上げ観測が強まった。ドルは、米国とイランの合意期待を背景に一時下落する場面もあった。

和平合意は安全資産とされるドルの重荷になる一方、ウォラー氏の発言はFRBのタカ派シフトを示唆しており、ドルを押し上げる可能性がある。

三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)のEMEAグローバル市場調査責任者、デレク・ハルペニー氏は、「ほかの国と比較して、米国の短期金利上昇はさらに進む可能性があり、短期的なドル高基調を後押しするだろう」と述べた。

円相場は対ドルで一時158円90銭台まで上昇する場面もあったが、総じて159円台前半で推移した。

原油

ニューヨーク原油相場は小反発。戦闘終結に向けた米国とイランの交渉の行方を見極めたいとのムードが強く、上げ下げを繰り返す展開で方向感は乏しかった。

米国とイラン双方の重要な対話相手とされるパキスタンのムニール陸軍元帥がテヘランを訪問していると、事情を知るパキスタン政府高官が明らかにした。

BOKファイナンシャル・セキュリティーズのトレーディング担当シニアバイスプレジデント、デニス・キスラー氏は「ウエスト・テキサス・インターミディエート(WTI)原油は100ドルを下回っており、原油先物は短期的に何らかの合意を織り込みつつあるようにみえる」と指摘。

「ただ、トレーダーらは交渉を巡るニュースの見出しに徐々に反応しにくくなっている」とも述べた。

アラブ首長国連邦(UAE)はここ数日、イランとの戦争終結に向けた働きかけを強めており、サウジアラビアやカタールとともに、トランプ米大統領に交渉による解決を続けるよう促している。事情に詳しい複数の関係者が明らかにした。

ゴールドマン・サックス・グループは、世界の原油・石油製品在庫が今月、過去最大のペースで取り崩されていると指摘している。

バルバラ・ランブレヒト、カルステン・フリッチュ両氏らコメルツ銀行のアナリストは「紛争当事者間で合意が成立せず、その結果としてホルムズ海峡の通航が引き続き厳しく制限される場合、在庫水準への注目は一層高まるだろう」とリポートに記した。

ニューヨーク商業取引所(NYMEX)のWTI先物7月限は、前日比25セント(0.3%)高の1バレル=96.60ドルで引けた。北海ブレント先物7月限は96セント(0.9%)高の103.54ドルで終了した。

金相場は下落。ウォラーFRB理事の発言を受け、短期金融市場で利上げの織り込みが進んだことが材料視された。利息の付かない金は通常、金利上昇局面で圧迫される。

ドルが上昇する中、金スポット価格は一時1.1%下げた。

スポット相場はニューヨーク時間午後4時3分現在、前日比37.10ドル(0.8%)下落し、1オンス=4505.95ドル。ニューヨーク商品取引所(COMEX)の金先物6月限は19.30ドル(0.4%)安の4523.20ドルで引けた。

欧州

22日の欧州市場は、債券が軒並み上昇。イランと米国がいずれも合意に近づきつつある可能性を示唆したため、和平交渉に対する楽観が台頭。ドイツの10年債利回りは2週間ぶりの低水準を付けた。

ドイツ10年債利回りは8ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)低下して3.02%と、5月11日以来の低水準。2年債利回りも最大8bp低下し、2.61%となった。

短期金融市場では欧州中央銀行(ECB)の利上げ観測が後退。年内に見込まれる利上げ幅は65bpとなり、前日終値時点から3bp縮小した。ただし、市場はなお6月利上げの可能性を高く織り込んでいる。

英国債は、長期物利回りが週間で2年以上ぶりの大幅な低下となる見通し。エネルギー価格の低下やイングランド銀行(英中央銀行)の利上げ観測後退が政治混乱への懸念を打ち消した。

株式は続伸。イラン戦争の持続的な解決策に対する期待から地合いが改善し、ストックス欧州600指数は週間で1カ月以上ぶりの大幅高を記録した。

22日の同指数は0.7%高。週間では3%上昇した。

5月22日の欧州マーケット概観(表はロンドン午後6時現在)

原題:S&P 500 Bulls Power Longest Weekly Gain Since 2023: Markets Wrap(抜粋)

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