半倍数性のデメリットは

半倍数性にはさまざまなメリットがある一方で、いくつかのデメリットも指摘されている。

(1) 遺伝的多様性が低くなりやすい

オスが半数体であるため、二倍体に比べて遺伝子の組み合わせが限られる。その結果、集団全体としての遺伝的多様性が低くなりやすい。

このため、環境の大きな変化や病原体の蔓延に対して、適応が難しくなる場合がある。

(2) 性比や繁殖をめぐる内部対立が生じやすい

姉妹間の血縁度は0.75と高いが、これは父が同じ場合に限られる。

実際には、女王バチが複数回交尾することも多く、その場合、父の異なる姉妹(異父姉妹)が生じる。このとき、姉妹間の血縁度は0.25まで低下する。

さらに、女王バチは数年にわたって生存するため、その交代をめぐる問題も生じる。女王バチと働きバチの利害対立や性比操作の争いが考えられる。

こうした要因が重なることで、集団内で利害の対立が発生しやすくなる。

(3) 小規模な集団に適した仕組みである

半倍数性は、ハチやアリ、キクイムシなどに見られるが、多くの動物は二倍体である。特に、哺乳類を含む脊椎動物や、多くの昆虫では二倍体が一般的である。

半倍数性は、巣を中心とした小規模な集団や、親による世話が前提となる生活様式と相性がよいと考えられる。一方、二倍体は、大規模で移動性の高い、分散した生活に適した仕組みといえる。

実際、多くの動物は二倍体として生活している。

ハチの小集団

半倍数性は小規模な集団に適した仕組みとされる一方、二倍体は大規模な集団に適していると考えられている。

では、その違いはどの程度のものだろうか。最後に、祖先の数を通じて確認してみよう。

人間の場合、父母は2人、祖父母は4人、曾祖父母は8人、高祖父母は16人と、世代をさかのぼるごとに倍々に増えていく。

では、メスのハチではどうなるか。父母は同様に2匹であるが、オスには父がいないため、祖父母は3匹となる。

さらに、曾祖父母は5匹、高祖父母は8匹と増えていく。

これを一般化すると、世代 n の祖先数を A(n) とすると、 A(n) = A(n−1) + A(n−2) という関係が成り立つ。

これは直前2世代の合計になるもので、フィボナッチ数列と呼ばれるものである。

では、自分の10世代前の祖先数を比較してみよう。

人間では2の10乗で1024人となるのに対し、ハチでは144匹にとどまる。すなわち、ハチは人間の約14%の規模である。

このように、半倍数性のもとでは祖先の広がりが抑えられる。人間とは異なる家族の作り方がここにある。