労働時間減少の要因

1990年代前半から2010年代半ばまでの労働時間(一人当たり)の減少は、主として相対的に労働時間の短いパートタイム労働者比率の上昇によるものだった。

しかし、働き方改革が本格化し始めたと考えられる2010年代半ば以降は労働時間減少の要因が変化している。

厚生労働省の「毎月勤労統計」を用いて、労働時間の減少を寄与度分解すると、2010年代半ばまではパートタイム労働者比率の上昇による部分が大きかった。

しかし、それ以降は一般労働者、パートタイム労働者の労働時間減少が一人当たり労働時間の減少に大きく寄与するようになっている。

「毎月勤労統計」の就業形態は一般労働者とパートタイム労働者の2種類だが、「労働力調査」では2013年以降、非正規雇用の内訳も含めた労働時間が調査されている。

就業形態別の月間労働時間(一人当たり)を男女別、就業形態別にみると3、全ての就業形態で男性の労働時間が女性の労働時間よりも長い。

非正規雇用の内訳では、契約社員の労働時間が最も長く、それに続くのが派遣社員、嘱託、パート・アルバイトである。

全ての就業形態の労働時間が2013年から2025年にかけて減少しているが、この間の減少率は男性のほうが女性よりも大きい。

男性の月間労働時間は2013年の182.8時間から2025年には165.4時間へ▲9.5%減少したのに対し、女性は2013年の137.6時間から2025年には129.3時間へ▲6.0%減少した。雇用形態別には正規雇用の減少率が▲7.9%、非正規雇用の減少率が▲11.8%と非正規雇用の減少率のほうが大きい。

2013年以降の労働時間減少を、就業形態別労働時間の増減と就業形態の変化に要因分解すると、男女ともに就業形態別労働時間の減少が全体の労働時間減少の主因となっている。

一方、就業形態の変化については、男性は全体の労働時間の増減にほとんど影響を及ぼしていないが、女性は2020年頃から労働時間の押し上げ要因となっている。

これは、相対的に労働時間が短い自営業主・家族従業者、非正規雇用の割合が低下する一方で、相対的に労働時間が長い正規雇用の割合が上昇しているためである。

女性については、正規化のさらなる進展が先行きの一人当たり労働時間の増加につながる可能性もある。