舌下免疫療法の普及と今後の課題

花粉症は対症療法が中心であったが、舌下免疫療法の普及により、症状そのものの改善を目指す治療への関心が高まっている。

一方で、スギ花粉舌下免疫療法薬「シダキュア」については、限定出荷が続くなど供給面の課題も指摘されてきた。

2023年の国の花粉症対策では、舌下免疫療法薬の供給量を約25万人分から5年以内に約100万人分へ拡大する方針が示されており、2025年には生産拠点の拡充が進められるなど、供給体制の強化が図られているとされる。

治療面では、舌下免疫療法は3~5年間の継続が必要であり、治療の中断が生じることがあることや、公的医療保険の自己負担3割の場合でも年間約3万円程度の医療費がかかるとされることから、医療費総額が高くなりやすいことが課題とされている。

子どもについては自治体等の医療費助成制度の対象となる場合が多く、若年期から治療を開始しやすい環境が整っている地域も多い。

「シダキュア」を含む舌下免疫療法の継続率について、他の舌下免疫療法と比べれば比較的高い傾向がみられるものの、10歳未満では10代よりも継続できていることを報告する研究もあり、早期から治療を開始する意義も示唆されている。

花粉症は果物や野菜などに対するアレルギー症状(花粉‐食物アレルギー症候群)との関連も指摘されており、花粉症の根治への関心も高まりつつある。

花粉症は日本で広くみられる疾患であり、生活の質や就労への影響も大きい。舌下免疫療法は継続や供給などの課題を抱えつつも、症状の長期的改善を目指す治療として、今後も利用の広がりが注目される。

(※情報提供、記事執筆:ニッセイ基礎研究所 保険研究部 主任研究員・ヘルスケアリサーチセンター兼任 村松 容子)

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