モンロー主義になぞらえ“ドンロー主義”を掲げるトランプ米大統領
米国のトランプ大統領が掲げる「MAGA(Make America Great Again:米国を再び偉大に)」「米国第一主義」は、米国民の約半数からの熱烈な支持を集めて大統領選勝利の原動力となった一方で、国内外に様々な軋轢を生んでいる。
例えば、不法移民への取り締まり強化策はICE(移民税関捜査局)による強権的な捜査に繋がり、全米各地で抗議運動が起こるなど社会問題化している。
トランプ大統領(二期目)の支持率は、就任直後こそ50%を上回っていたものの(支持率データはRealClearPolitics世論調査平均による:以下同)、その後は物価高対策が進まないことなどもあって一貫して低下基調を辿っているが、ICEによる発砲死亡事件には、党派を超えた批判も多い。
他方で、熱烈なトランプ大統領支持者や移民の増加に批判的な見方をする人はこれを擁護しており、米国内での分断は一層深まっているように見える。
一方、他国への対応はより明確で、25年4月発表のトランプ関税に象徴されるように、外交関係の悪化リスクを厭わない活動が目立つ。
国際機関からの離脱も加速しており、就任直後には地球温暖化対策に関するパリ協定からの(再)離脱を決定したことを皮切りに、今年1月には66の国際団体(31の国連関連機関+35の非国連機関)からの離脱方針を発表した。
一連の動きについてトランプ大統領は「米国主権の回復」「グローバル・ガバナンスではなく二国間・取引型外交への転換」と位置づけ、「米国の短期的国益に合致するもののみ選別する」としている。
加えて、1月にはベネズエラに軍を派遣してマドゥロ大統領を拘束、米国への移送を行ったほか、グリーンランドの米国への移譲を求めるなど、国際法を軽視するような行動や言動も目立っている。
ベネズエラは原油の確認埋蔵量が世界一であること、グリーンランドにはレアアースの有望な鉱床が存在していることから、米国の行動は、資源確保を意識したものと見なされている。
こうしたトランプ政権下での一連の動きは、かつて米国の外交政策の柱であった「モンロー主義」を彷彿とさせる。
実際、2025年11月に公表された米国の「国家安全保障戦略(National Security Strategy of the United States of America)」ではモンロー主義に言及している。
トランプ大統領も、自身の外交政策をモンロー主義になぞらえて「ドンロー主義」と述べている。
