中国が南シナ海の係争海域で占拠している幾つかの岩礁で、監視・電子戦システムを強化している。米シンクタンクが2日に公表したリポートで分かった。防衛態勢の底上げと情報収集能力の拡大を図る動きだ。

戦略国際問題研究所(CSIS)のアジア海洋透明性イニシアチブ(AMTI)が分析した衛星画像によると、南沙(英語名スプラトリー)諸島の前哨拠点で新たなレーダー施設やアンテナ群、その他の強化構造物が確認された。

リポートは、ミスチーフ礁とスビ礁、ファイアリークロス礁でここ2年で最も大きな変化が生じていると指摘。新しいアンテナ群が追加され、既存設備も強化されたとしている。

「これらの増強は、中国基地の主要な機能が南シナ海における比類ない情報・監視・偵察(ISR)体制を提供することにあるという事実を裏付けている」とし、こうした設備は中国の海警局や海軍の活動を支えるとともに、紛争発生時には中国が「他国による電磁スペクトルの利用に対抗する」ことを可能にすると分析している。

確認された建設加速は、南シナ海で領有権を主張する他国との対立が続く中でも、中国が前哨拠点の強化を進めている実態を浮き彫りにしている。

北側に位置する係争中の浅瀬付近では、フィリピンと中国の船舶がたびたびにらみ合いとなり、衝突も発生。

フィリピン政府は同盟国の米国に対し、共同の海洋状況認識の向上を目的に非武装の無人機「MQ-9A」の派遣を要請した。

米海兵隊太平洋軍は先月、「リーパー」として知られるMQ-9Aの一時的な配備は、両国が協調して海洋安全保障を強化する意思を反映したものだと説明した。

AMTIのリポートは、中国の攻撃能力にも言及。ミスチーフ礁の西側と北側で2023年に土塁で整備された一角は、多くが空き地のままだが、「火砲やロケットを含む多様な車載型兵器プラットフォームを収容できる可能性が高い」と警告している。

原題:China Boosts Intelligence Reach in South China Sea, Report Says(抜粋)

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