世界は日本に夢中だ。だが、必ずしも相思相愛ではない。日本への移民と観光客の流入が急増する中で、高市早苗首相は外国人を巡る政策の見直しを最優先課題の1つに据えた。

月内に包括的な計画を発表する予定で、永住権と国籍の取得要件厳格化やビザ(査証)発行と在留資格の更新・変更にかかる手数料および出国税の引き上げ、外国人による不動産購入の審査強化などが盛り込まれる見通しだ。

この問題が初めて大きく浮上したのは昨年の参院選だ。「日本人ファースト」を掲げる参政党が躍進し、かつて鎖国していた日本が、排外主義へと後退しているとの批判も上がった。

しかし、高市氏のアプローチは日本を閉ざすものではない。外国人労働力の重要性が今後さらに高まる未来に向けた必要な一歩だ。

変化に対する国民の不安という現実を早い段階で認識し、場当たり的になりがちな制度を正式に整えることで、欧米の多くの国で混乱を招いた移民政策の急旋回を回避できる。

日本は移住が極めて難しい国というイメージがある。だが実際には、その運用は驚くほど緩い場合が多い。外国人に複数年滞在を認める「経営・管理」ビザ取得には、昨年まで500万円以上の資本金があればよかった。帰化申請はほぼ認められており、2024年の不許可はわずか5%だった。

国籍や永住権の取得に日本語能力は問われない。一方、米国での帰化には英語試験に加え、所得税の申告期限や独立13州の名称といった質問に答える能力が求められる。

絶対数が少なかった時代には、これは大きな問題ではなかった。しかし人口の高齢化が進んだここ10年ほどで流入が急増。外国人の数は12年以降に倍増し、400万人を超えた。全体では人口の3%に過ぎないが、外国人比率が10%を上回っている自治体もある。

新型コロナ禍後、訪日観光客の増加と相まって、国民が変化を実感し始めたことで問題が深刻化し対策が求められる段階に達した。今後も流入は増える可能性が高く、40年には人口の10人に1人が外国生まれになるとの見方もある。今こそ日本という国の姿をどう描くかを議論する良い機会だ。

政策の再構築

移民政策を慎重に進めるスタンスは、大規模な移民受け入れに突き進み、今になって方向転換を迫られている外国の失敗を観察する余地を日本に与えた。

英国では労働党政権が、ナイジェル・ファラージ氏率いる右派政党UKリフォームの脅威を抑えるため、高市氏よりはるかに強硬な言葉遣いを余儀なくされている。

ドイツも移民の枠組みを引き締めつつある。極右政党「ドイツのための選択肢」(AfD)を脅威として捉えているためだ。欧州連合(EU)も最近、不法移民に関してかつては極右の領域と見なされていたスタンスに近づいた。

10年ほど前、日本は多くの難民受け入れを拒んでいるとして非難されることが多かった。今では、日本をかつて批判していた層の多くが、国際的な難民制度そのものを廃止すべきだと主張している。大規模な移民受け入れは、出生率低下の対策にもならなかった。

大量の移民流入は大方の有権者には不人気というのが現実だ。最近のNHK世論調査では、高市氏の取り組みを支持した人の割合は70%に上った。過度に緩い政策の後に厳格な取り締まりへと振れる事態を避けるため、政策を再構築するチャンスだ。

日本が外国人の働き手を必要としているのは間違いない。筆者自身も日本に移り住んだ外国人であり、労働力不足を補う必要性を認識している。より多くの訪日客を歓迎したいとも考えるが、その際には相応の負担を求めるべきだ。

移民に法令順守を求め、豊かな国での長期滞在に一定の制限を設けるのは妥当だ。UKリフォームのような政党が国民の不安につけ込むことはあり得るが、移民を巡る摩擦を減らす政策が全て人種差別と決めつけられるべきではない。

ビザ手数料の引き上げは他国並みの水準で、歳入を増やす必要のある日本政府にとって有効な手段だ。「中道」政治家の対応の鈍さに失望した有権者が、より厳しい措置を掲げる極右政党へ流れる世界的なトレンドを踏まえれば、高市氏が国民の懸念を直視するのは賢明だ。

同時に、政策のパッケージには外国人が社会にとけ込みやすくする取り組みも含める必要がある。長期ビザと語学要件を結び付けることには一理あるが、対の施策として日本語学習と学校教育の充実は欠かせない。

日本に暮らす外国人は、多くの暗黙の社会的ルールの適用外に置かれていると感じがちだ。だが居住者の構成が変わる中で、一定の事項をより明確に成文化するのは悪いことではない。

(リーディー・ガロウド氏はブルームバーグ・オピニオンのコラムニストで、日本と韓国、北朝鮮を担当しています。以前は北アジアのブレーキングニュースチームを率い、東京支局の副支局長でした。このコラムの内容は必ずしも編集部やブルームバーグ・エル・ピー、オーナーらの意見を反映するものではありません)

原題:Japan Is Right to Rethink How It Does Immigration: Gearoid Reidy(抜粋)

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