細い橋を、しなやかで安全・安心な橋へ~関係人口の増加に向けて問われる「関係の質」

観光を始めとする交流人口の拡大は、人口減少や東京一極集中から地方分散への政策において、地域への関心を喚起する入口となる。

しかし、その先に位置する関係人口は、より持続的な関係であり、たとえば社会人であれば休暇取得や資金的支援といった外的条件のみならず、本稿で述べたように、関わろうとする人の心理的安全性や自己効力感を媒介する仕組みも合わせて求められる。

地方の未来に向けた戦略は、いま、人の流れを量のみならず「関係の質」として再定義しようとする転換期にある。

その核心の一端は、本稿で触れた様に人が「関わってもよい」と思える安心感の設計にあるとも言える。

このような心理的安全性を意識しながら、地域社会が人との関係をしなやかに結び続ける環境を整えることが、移住を含む持続可能な関係づくりに繋がっていくのではないだろうか。

情報提供、記事執筆:ニッセイ基礎研究所 生活研究部 准主任研究員 小口 裕

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