ポイント2 皇室で35年ぶりに新しい家 彬子さま当主もレア

信子さまが独立されたことにより、独立生計認定を受けた「新たな家」が誕生したことになる。宮内庁は、天皇陛下から賜る宮号(いわゆる「◯◯宮」)は無いと明らかにした。そのため「三笠宮寛仁親王妃家(みかさのみや・ともひとしんのうひ・け)」と呼ぶようだ。
総数として「4宮家」(秋篠宮、常陸宮、三笠宮、高円宮)といっていたのが、これからは「5宮家」になる。家ができるのは、1990年の秋篠宮家以来35年ぶり。また、皇族妃が新たに家を創設するのは、明治時代の旧皇室典範施行以降、例がない。
また、彬子さまが当主となった三笠宮家のほうも、レアケースだ。女性皇族が当主となるのは、当主を亡くした妃が継ぐというケースがほとんど。未婚の女性皇族が継承するのは、江戸時代の桂宮淑子内親王以来163年ぶりとなる。
また、未来に目を向けると、女性皇族の割合が高い皇室において今後はさまざまな当主の形があり得るだろう。「あのとき彬子さまも・・・」という前例になる可能性がある。
明治以降の皇室では前例のない“初めて尽くし”。決定をめぐっては、ご一家のこれまでの事情に鑑みれば、「やむを得なかった」という考えもある。さまざまな家族の形があり得る中、ご一家が幸せに過ごせる最適解という意味では、現実的な判断だったのかもしれない。
一方で「ご一家がひとつにまとまるのが通例だし、その方が毎年使われる税金も少なかったのでは」という声も当然ある。今回の決定に対し、宮内庁は「宮家の中で話し合われた結果」としている。理屈抜きにご一家の思いを尊重したい考えと、納得いく理由・ロジックを求める気持ち、一記者としてそのバランスがとても難しいように思う。
(TBSテレビ 報道局社会部・宮内庁担当 岩永優樹)