本稿では、絵画や劇といった本来は静的なコンテンツに対し、映像演出や空間設計、観客参加といった「没入感を生み出す手段」が付加されることで、イマーシブコンテンツとして再構築され、商品化されている構造について論じた。

従来は個人の主観的体験だった「没入」が、現代ではマーケティング用語として機能し、消費者が「イマーシブであること」自体を購入する構造へと転換している。

すなわち、没入感が保証可能な体験として流通し、消費文化における新たな価値のかたちを示しているのだ。

本稿では、この市場における「イマーシブ」を消費文化論の視点から考察していく。