4 分断を回避する仕組みの構築

同時に、社会の分断の目を摘む努力も必要である。今般の参院選で外国人問題が争点化した背景には、不満の発露という面もあったと思われる。

現在の日本の世帯所得分布をみると、低所得世帯に属する年収200万円未満の世帯が約21.1%、その上に下位中間層に属する200万円以上400万円以下の世帯が約27.5%存在する。

日本の分配政策は、低所得世帯は住民税非課税世帯として様々な支援策の対象となる一方、下位中間層はその支援対象からは外れるため、負担が急激に重くなり取り残されやすい。

国内の分断を回避するには、低所得世帯や外国人が抱える問題に目を向けるだけでなく、下位中間層も包摂する仕組みを作っていく必要がある。

そのためには、税・財政・社会保障の一体改革は、重要な課題として前に進める必要がある。

支援策の段差をなくす給付付き税額控除や、現役世代に偏る負担構造の見直しなど、国民的な議論のもとで課題の解決に取り組む必要があるのではないだろうか。

(※情報提供、記事執筆:ニッセイ基礎研究所 総合政策研究部 准主任研究員 鈴木 智也)

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