2 外国人なしに回らない日本社会の現実

一方で、日本が置かれた現実は、よりシビアである。すでに日本は少子高齢化で人口減少が進み、社会の支え手である労働人口の縮小という供給面の制約に直面している。

厚生労働省の推計によれば、2040年時点で介護職員は57万人不足し、厚労省の需要推計などから一定の仮定をおいて推計すると、看護職員も45万人ほど不足することが見込まれる。

これらの人材は、高度なコミュニケーションや、精緻かつ非定型な作業が必要となるため、AI(人工知能)やロボットによる置き換えが容易ではない。

社会保障制度は、人繰りの面で危機的な状況にあり、人材確保が喫緊の課題となっている。

また、便利な生活の代名詞でもあるコンビニでは、外国人の存在なしに24時間営業を維持できなくなり、地域社会と密接に関わるタクシーやラストワンマイルを支える物流でも、増加する需要に追い付かない事態が生じている。

現実問題として、外国人の力に頼らざるを得ない面は強く、安易な排外主義に陥れば、日本の将来に大きな支障を来しかねない。