3 外国人政策の重点は適正化にシフト

参院選の結果を踏まえた国会の議席状況から考えると、国内の外国人政策はしばらく厳格化する流れとなる。

実際、今年5月には、2030年までに退去強制が確定した外国人数の半減を目指す「不法滞在者ゼロプラン」が発表され、参院選後には特定技能以外の在留資格でも受け入れ上限を設けることに加えて、外国人の不動産取得や投機を規制する法案提出も検討されている。

選挙期間中には、「外国人は相続税を払っていない」「生活保護受給者の3分の1は外国人」など、事実に基づかない議論も多くあったが、現在の外国人政策が「対症療法的で、統一方針がない」といった問題があることも事実であり、それらの問題が適正化していくこと自体は望ましい流れと言える。

ここでの問題は、本格的に排外主義と結びついて、日本が内向きにクローズしてしまったとの印象を世界に与えないことだろう。

そのためには、今回の動きは外国人政策の適正化であり、いま適法に在留・就労する外国人の権利や生活には、不当な影響を与えないことを明確に打ち出すことが必要である。

曖昧さは不安につながる。明確な定義のもとで今後検討されていく措置が、外国人と日本社会との摩擦を減らすものであることを、しっかり説明していく必要がある。