3|Z世代にとって「お堅い」社会課題を「身近さ・共感・楽しさ・社会的意義」へと翻訳

この取り組みは、サステナビリティを「遠い理念」ではなく「身近な行動」として翻訳する巧みな工夫と言える。

先ほど挙げた4つのアプローチの観点で言えば、「たすけてください」というキャラクターの訴えは、抽象的な環境保護ではなく、目の前の小さな存在への共感を呼び起こし、即時的な行動につながったと思われる。 

また、SNSを通じて「みんなが参加している」という空気を可視化し、行動の連鎖を後押しした点も重要だ。

さらに、涙目キャラクターのポップなデザインは、食品ロス削減という硬いテーマを楽しく参加できるポジティブな選択へと変換し、「意識高い系」という揶揄から距離を取ることに成功している。

このように、Z世代を含む生活者を動かすうえで多くの示唆を与えてくれる事例であるが、「身近さ」「共感」「楽しさ」「社会的意義」という複数の価値を同時に立ち上げた点においても、食品ロスという社会課題に対する優れたアプローチだと言えるだろう。