2|欧米の「共通善」と日本の「世間」文化、そのズレ~世間に敏感なZ世代がつい敬遠してしまう理由
そもそも、サステナビリティの定義には、そもそも「利他性」が強く内包されている。
よく知られる「将来世代のニーズを損なわず、現在のニーズを満たす」というサステナビリティの定義には、前提として、未来の人々や地球全体への配慮が組み込まれている。
また、海外のサステナビリティの研究では「共通善(common good)」という考え方が広く用いられる。
これは「すべての人が享受すべき基盤的条件」を守るという普遍的な理念であり、人権や環境保全など社会全体の幸福を目的とするものだ。
その一方で、日本文化においては、普遍的な理念よりも「世間」「空気」が優先されやすい。公共空間で理念を語るよりも「近くの人にどう見られるか」を重視する傾向が強いと言われる。
その結果、未来世代や地球全体といった抽象的な利他性を、自分の日常に接続しにくくなっているとも言えるだろう。
特に、周囲との関わりに敏感と言われるZ世代が「理解しているのに行動できない」状況は、この文化的ズレに根ざしている面もあると考えられる。