雇用問題に揺らぐモディ政権

雇用問題は、インドの政治にも大きな影響を及ぼしました。

2024年の総選挙では、モディ首相率いるインド人民党(BJP)が10年ぶりに議会過半数を失いましたが、その一因には、雇用創出の公約を果たせなかったことへの国民の不満があるとされています。

特に、大学進学率が高いにもかかわらず、期待した仕事が得られない若者たちの不満が、モディ氏が議席を失ったウッタル・プラデーシュ州などの地域で顕著でした。

モディ首相は製造業のGDP比率を25%にするという目標を掲げていましたが、これは未達成に終わっています。

インドではいまだに農業に従事する人が多く、製造業が十分に育たないまま、農業からサービス業へと労働力が流れてしまっているのが現状です。

アップルやフォックスコンといったグローバル企業がインドに工場を設立する一方で、他の大企業の投資は消極的であり、中小企業も複雑な手続きや資金不足によって成長が妨げられ、雇用創出の穴を埋められていません。