(ブルームバーグ):ノーベル平和賞を受賞したマリア・コリナ・マチャド氏は、授賞式に出席するため秘密裏にベネズエラを出国することに成功したが、悪天候により足止めされ、授賞式には結局間に合わなかった。事情に詳しい関係者が明らかにした。
非公表の情報だとして関係者によれば、マチャド氏はマドゥロ政権の内部関係者の助力を得て、9日にベネズエラを出国した。マドゥロ大統領が退陣する場合に体制側に協力する意思がある兆しだと、米当局者の一部は捉えているという。
マチャド氏はこれまで1年余りにわたって潜伏生活を続けていた。出国手段はボートで、約40マイル(約64キロメートル)離れたオランダ自治領のカリブ海の島、キュラソーに渡ったと、関係者は説明した。キュラソーにはまた、小さな米軍基地もある。

ノーベル賞のウェブサイトには、マチャド氏がオスロに向かう飛行機の中で収録したとされる音声メッセージが掲載された。メッセージの中で同氏は「私たちは多くのことを乗り越えなければならなかった。私がオスロにたどり着けるよう、多くの人が命を懸けてくれた」と述べた。
「この人たちには深く感謝している」とした上で、「そしてこの受賞が、ベネズエラの人々にとってどれほどの意味を持つかを示すものでもある」と続けた。
関係者によると、悪天候と高波によりマチャド氏の移動スケジュールは数時間遅れ、授賞式欠席を余儀なくされた。このため授賞式には娘のアナ・コリナ・ソーサ氏が代理で賞を受け取った。マチャド氏のベネズエラ脱出の一部詳細は、ウォールストリート・ジャーナル(WSJ)が他社に先んじて報じていた。
ホワイトハウスはコメントの要請にすぐには応じなかった。
マチャド氏が授賞式に出席できるのかを巡っては、長らく臆測が続いていた。

マチャド氏のベネズエラ出国は、同氏自身とマドゥロ政権の両方にとって、チャンスとリスクをはらむ。
マチャド氏の支持者は、ノーベル賞授賞式を終えて無事に帰国できれば、国内での立場が一層強固になるだろうと期待している。一方で、マドゥロ大統領が強硬姿勢をとって再入国を拒否し、マチャド氏に亡命を強いるとの見方もある。これまでのベネズエラ反体制指導者は亡命に追い込まれ、影響力を失っていった。
事情に詳しい関係者によれば、マチャド氏はトランプ政権から支援を受けたほか、マドゥロ政権内部関係者の協力も得ていた。ベネズエラ政府はコメントの要請にすぐには応じなかったが、マチャド氏の所在は把握していると長らく主張していただけに、報道内容について異議を唱える可能性が高い。
ノーベル研究所は10日、マチャド氏は「本日の授賞式に出席しようとあらゆる手を尽くした」とし、「極めて危険な状況下での渡航」に踏み出したと説明。
「マチャド氏は無事で、オスロに来られることを確認できた。これは大きな喜びだ」と続けた。
原題:Nobel Winner Machado Secretly Left Venezuela and Hit Bad Weather(抜粋)
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