マンション「再生」の決議も緩和 安全面での懸念がある場合はさらに緩和も

さらに改正法では、現在は区分所有者「全員の合意」が必要とされている「建物敷地売却」「取り壊し」「1棟リノベーション」等について、現行法の「建替え」と同様に、「5分の4以上」の賛成へと緩和しています。

「建替え」と「建物敷地売却」「取り壊し」「1棟リノベーション」等については、耐震基準に適合しないなど耐震性が不足していたり、火災に対する安全性が不足していたりする場合や、外壁などの剥落により周辺に危害を生じさせるおそれがある場合などは、多数決の要件をそれぞれ「4分の3以上」へと緩和しました。

このほか、政府指定災害によって被災した場合は、さらに多数決の要件を「3分の2以上」へと緩和することも盛り込まれています。

多様化する「建替え」のニーズに対応

多様化する「建替え」のニーズに対応するため、新たな制度も導入しています。

例えば、マンションの「建替え」の場合に多いのが、隣接している土地を取り込み、さらに大きなマンションとして建て替えるケース。こうした場合に課題となるのが、隣接している土地の所有者との合意の形成です。

改正法では、合意形成を円滑に行うため、隣接している土地の所有権を、「建替え」後のマンションの区分所有権と権利変換することを可能にしています。つまり、所有している隣接地をマンション側に譲る代わりに、建替え後のマンションの区分所有者になることができるのです。

隣接地の所有者にとっては、売買ではなく権利変換とすることで、税金面での負担が軽くなるほか、抽選不要でそのマンションに住むことができるなどのメリットも期待されるのです。