「価格高騰で朝食を減らす」傾向は一服
さて、朝食価格が高騰すると、生活者はパンや牛乳など、朝食消費の数量を減らすことになるのだろうか。それを調べる方法は、やはり試算データに依存する。総務省「家計調査」(2人以上世帯)のデータでは、実質消費(消費数量)の指数の変化率が掲示されている。
筆者は、これを2020年の消費額ウエイトで加重平均して、朝食数量指数を作成してみた。「家計調査」で追跡が可能なパン、加工肉、牛乳、卵、コーヒー・ココアの5項目の実質消費の変化を合成したものである。

すると、価格が上がると生活者は朝食数量を減らすだろうという仮説通りに、2022~2023年は継続的に数量を減らすような動きが確認できた。反対に、2024年に入ると、朝食価格指数の上昇が落ち着いた分、数量削減の動きが一服していた。素直に価格高騰が進むと、朝食数量は減らされて、その高騰が頭打ちになると減少ペースもかなり鈍化していた。
項目別にみていくと、どうやらパンの消費数量は、意外に価格に敏感だということがわかってきた。2024年秋以降、米価格が急騰したため、代替性が比較的強いパンには消費シフトが起こった可能性がある。
また、これは実質賃金の推移とも符号する動きである。つまり、家計の余裕がなくなると、朝食の内容も寂しくなり、徐々に余裕が回復してくると、朝食の見直しも行われる。2025年は賃上げがしっかりとしていき、朝食内容が再び充実される方向に変わっていくことを期待したい。