朝食価格は350円→423円に高騰

2022年に筆者が開発した朝食価格指数を、最近までデータ更新してみた。伸び率は最近になると頭打ちになってはいるが、価格水準はどうしても下がりにくい。

わかりやすく示すために、2020年平均の朝食価格が350円(ベンチマーク)だったと仮定して、2024年末にはどのくらいになったのかを計算してみた。すると、その価格変化は1.21倍、つまり350円が423円に高騰していた。その値上がりは、生活者にとって痛いものだと認識できる。

朝食価格指数について解説しておくと、総務省「消費者物価」をベースにして、朝食と関連する10項目をピックアップして合成したものである。

パン、シリアル、コーヒー・ココア、砂糖、ジャム、マーガリン、バター、加工肉、牛乳、卵の10項目である。これらを消費者物価指数の構成ウエイトで合算したのが、朝食価格指数である。その伸び率は、2023年8月に最も高くなり、それ以降は鈍化しているが、価格水準はほとんど値下がりしていない。

目下の朝食価格は総体として下方硬直的である。2020年平均=350円として、その価格推移を示してみると、以下のように、2022年頃から高騰が進んでいる。

2020年平均 350円
2021年平均 350円
2022年平均 371円
2023年平均 408円
2024年平均 423円

実のところ、2022年にこの指数を開発して、当初の2022~2023年は朝食価格は他の食料品よりも目立って上がっていたが、2024年に入るとそうでもなくなった。他の食料品も、朝食と同様の高騰となってきたからだ。

食料品の価格指数が、2020年平均比で2024年末(=2024年12月)はどのくらい上がったのかを調べると、1.22倍であった。朝食価格指数の1.21倍とほぼ同率である。

朝食価格指数をコンポーネント別に調べると、同じ期間の伸び率で高い順に並べて次の通りになっていた。

①砂糖 1.38倍
②卵 1.29
③コーヒー・ココア 1.27
④マーガリン 1.25
⑤パン 1.21
⑥牛乳 1.20
⑦バター 1.19
⑧加工肉 1.14
⑨シリアル 1.13
⑩ジャム 1.12

このデータからは、朝食項目のどれかが突出して高騰しているのではなく、すべてが軒並み上がっていることがわかる。そうした傾向は、他の食料品の項目にも言えて、昨今は何かを選んで食べれば、物価高騰を免れられるということにはならず、どれを食べても割高感があるという状況になるのだ。

つまり、生活者は、食料品の高騰から逃げることはできない。エンゲル係数(食費÷消費支出)が過去最高になってしまう背景をつくっている。