(ブルームバーグ):日本国内におけるクマによる被害人数が、今年度11月までに230人、出没件数は3万6814件と、記録が残る中で過去最多となったことが、環境省の集計で分かった。
速報値(5日発表)では、被害人数は秋田県が最多で66人、岩手県が37人、福島県が24人と続いた。出没数も秋田県が最多の9852件で、東京都でも142件が報告された。出没件数は10月までの通報件数などをまとめたもの。
クマの出没と被害が各地で増える中、登山やキャンプを控える動きが広がり、アウトドア関連の消費や地域経済にも影響が出始めている。一方で、クマ対策グッズを手がける企業の株価が上昇するなど、市場にも波及している。

富山県富山市の標高約2300メートルにある太郎平キャンプ場は、ツキノワグマの出没により8月に閉鎖に追い込まれた。運営を担うロッジ太郎の五十嶋さおり氏によると、ある日、登山者のテントと食料がクマに持ち去られる被害が発生したという。
五十嶋氏は6日の電話取材で、100張ほどの当キャンプ場は「景色もよく、北アルプス立山へ向かう登山者にも人気が高く、経済的損失を考えてもできるだけ早い再開を目指したい」と話した。一方で、クマを寄せ付けないようにするには複数の対策が必要で、「すぐにできることではない」と苦労をにじませた。
株式市場では、話題性を追ういわゆるミームトレーダーが、クマ用スプレーを販売するティムコや、猟銃メーカーのミロクを売買する動きもみられている。
政府は11月、被害の大きい秋田県に自衛隊を派遣し、わなの設置や輸送、ドローンによる状況確認などの後方支援を行った。9月には、人の生活圏にクマが出没した場合、市町村長の判断で銃猟を可能とする緊急銃猟制度の運用が始まった。
(キャンプ場運営者のコメントなどを5段落以降に追記しました)
もっと読むにはこちら bloomberg.com/jp
©2025 Bloomberg L.P.