トランプ関税の全体像がはっきりと見えない。

それが、金融市場の先行きを極めて不透明にしている。シンプルに考えると、輸入品に関税率をかけると、輸入物価が上がり、インフレ要因になる。FRBは、そのインフレ圧力がどのくらい顕在化するのかを見極めたいと考えるので、1月のFOMCで利下げを見送ったのと同じように様子見を決め込むだろう。

12月時点でアナウンスした2025年内に2回の利下げシナリオが修正されて、株式市場はそれを失望する。日本にとっては、利下げの見送りは米長期金利の上昇要因になるので、ドル高・円安が進む圧力になる。日本の物価上昇圧力を高めるという訳だ。

この流れは、1月24日に日銀が追加利上げを決めた後に、ドル円レートが円安水準に釘付けになっているところにも表れている。

2024年7月の利上げ時には、ドル円レートは一時的に▲20円の幅で円高に振れた。この1月はほとんど動いていない。事前に投機的なポジションの積み上がりが1月は小さかったこともあるが、潜在的なドル高圧力が働き続けている要因も根底には横たわっているだろう。