選挙後の経済見通しは変わらない

前回の岸田政権では、定額減税などのバラマキ的政策に対して、手続きが煩雑だったり、所得制限をどうするかなどの批判がありました。

そのため、末廣氏は、今回の選挙後の経済対策について、今回は地方に直接お金を渡す方針に切り替えるとしています。

地方自治体は、キャッシュバックなどの消費喚起策を打ち出すことが予想されます。末廣氏は、今回の経済対策でも、地方でキャッシュバックが行われるのではないかと予想しています。

一方で、金融政策に関しては、円安を懸念する声もあり、これ以上の金融緩和は難しい状況だとして、財政出動に頼らざるを得ないとのことです。

ただし、末廣氏は、選挙結果によって経済見通しが大きく変わることはないだろうと述べています。金融政策が大きく変更される余地はないからです。

連合・芳野会長「中小企業の賃上げが日本全体の底上げに繋がる」と発言

連合・芳野会長は「中小・小規模事業者がどれだけ底上げできるかが、日本全体の賃金の底上げにつながっていく」と発言しました。

大企業は5%以上、中小企業では6%以上の賃上げを要求しており、この1%の差に注目が集まっています。

末廣徹氏は「5%以上の賃上げ要求は予想通りだった」と述べています。物価高に追いつくためには、ある程度の賃上げが必要だと指摘しました。

末廣氏によると、5%の賃上げのうち、定期昇給で自然に上がる部分が約1.8%。残りの3%以上が実質的な底上げになります。日本のインフレ率目標が2%であることを考えると、1%程度の実質賃金上昇が期待できるとのことです。

昨年も連合は5%以上の賃上げを掲げ、結果的に5.1%を達成しました。連合は高めの目標を設定することで、企業側に賃上げをしやすい環境を作っているようです。

ただし、末廣氏は「5%以上の賃上げを続けるのは企業にとって大変な負担になる」と指摘。一時的に賃上げが進んでも、その後下がってしまうリスクがあります。

連合も賃上げの「定着」をキーワードにしており、5%という数字は定着させやすい水準だと考えられます。

末廣氏は、来年の賃上げは4%後半の着地になるのではないかと予想。劇的な実質賃金の上昇は難しいかもしれません。ただ、経団連の後押しもあり、少しずつ給料は上がっている状況だと述べました。

この2年間で実質賃金は5%ほど下がっており、仮に年1%ずつ回復したとしても、元の水準に戻るには5年かかる計算です。日本経済の回復には、地道な賃上げの積み重ねが欠かせないでしょう。

衆院選後のマーケットは「もやっとする」か?経済政策への影響を読み解く

今週末に迫った衆議院選挙。その結果が経済政策や金融市場にどのような影響を及ぼすのか、注目が集まっています。

末廣徹氏は、選挙結果によっては「もやっとしたマーケット」になる可能性が高いと指摘します。

「いずれにしても、財政政策がたくさん出てくるというのは予想されるところです。為替に関しては、今回の日本の選挙で大きく動いたり方向性が出ることはないのではないでしょうか。そうすると、為替があまり動かないのであれば、株価もあまり動かないかもしれません」

一方で、為替に関しては目前に迫ったアメリカ大統領選の方が重要だという意見もあるそうです。

選挙後の政治の行方と経済政策、そしてマーケットの動向。「もやっと」するのかどうか、注視していく必要がありそうです。