(ブルームバーグ):米政府閉鎖が40日目に突入する中、上院共和党トップのスーン院内総務は9日、事態打開に向けた合意が「まとまりつつある」と述べた。法案審議の手続きに関する採決を同日中に実施する計画だとしている。
事情に詳しい関係者によると、上院民主党議員の一部グループは、政府職員の解雇を防ぐ条項を含む歳出法案の細部が調整できれば、法案の審議入りに賛成票を投じる方向に傾いている。このグループの支持が得られれば、フィリバスター(議事妨害)阻止に必要な60票を確保できる見通しだという。
ただ、手続きに関する採決が可決されたとしても、政府閉鎖が直ちに終わるとは限らない。歳出法案通過には下院民主党の支持も必要だが、その保証はない。多くの民主党議員は依然、閉鎖解除の条件として失効が迫る医療保険制度改革法(オバマケア)の補助金の1年間延長を求めている。
スーン氏は連邦議会議事堂で記者団に対し、十分な数の民主党の賛成票が得られるかどうか注視していると語った。

ダフィ運輸長官が、閉鎖が続けば感謝祭の大型連休中に空の便が「ほとんど動かなくなる」恐れがあると警告する中、上院は農務省と退役軍人省、食品医薬品局(FDA)、議会自体の資金を2026年9月30日まで賄う新たなつなぎ予算案を準備している。その他の政府機関については、26年1月31日までの暫定的な予算が割り当てられる可能性が高いと議員らは述べている。
上院議員らは週末、今回の政府閉鎖の間で初めて首都ワシントンにとどまった。行き詰まりが解消されるまでワシントンを「離れるな」と、トランプ大統領が議員に向けて発言したことが背景にある。
4日の選挙で勝利した民主党は要求をやや後退させ、政府再開と引き換えにオバマケアの補助金を1年間延長する案を提示した。共和党はこの案を即座に拒否したが、両党の間では前進に向けた非公式の協議が始まっている。
トランプ氏はSNS上で、フィリバスター(議事妨害制度)を廃止するよう共和党に圧力をかけた。
政府閉鎖が長引くほど、その影響は深刻化する。連邦職員は依然として給与が支払われておらず、軍人の給与や一部給付のつなぎ資金として使われている予備資金も枯渇するリスクに直面している。税還付や中小企業向け融資、その他の連邦申請業務にも滞りが生じ、業務が積み上がっている状況だ。
議員らは空の便の混乱や食料支援の遅れといった深刻な影響が政府閉鎖を終わらせる転機となる可能性に言及している。だが、そうした事態が起きてもなお、閉鎖がいつ、どのように解消されるかの見通しは立たず、さらに深刻な事態が起きなければ議会が動かないのではとの不安も広がっている。
政府閉鎖の影響によって、米経済は週当たり約150億ドル(約2兆3100億円)の損失を被っている。議会予算局(CBO)は、11月中旬までに実質国内総生産(GDP)の年率ベースの四半期成長率が1.5ポイント押し下げられるとの見通しを示している。政府閉鎖や物価上昇、雇用情勢への不安が高まる中、7日に発表された消費者マインド指数は3年ぶりの低水準に落ち込んだ。
原題:Thune Plans Test Vote on Shutdown as Democrats Lean Toward Deal、Thune Plans Test Vote on Shutdown, Saying Deal Is Getting Closer(抜粋)
(上院民主党の動向などを追加して更新します)
--取材協力:Lillianna Byington、Jack Fitzpatrick、Ken Tran.もっと読むにはこちら bloomberg.co.jp
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