TBSテレビ経済部の佐藤祥太デスクと大和証券チーフエコノミストの末廣徹氏が、今週の経済マーケットに影響を及ぼす経済指標やイベントについて議論しました。

IMFで低成長と債務問題が懸念材料として浮上。日本銀行の金融システムレポートでは、金融機関の経営状況が注目されます。また、衆議院選挙の結果次第では「もやっとしたマーケット」になる可能性があるということです。

選挙後の日本経済の行方を占う上で、今週は重要な1週間となりそうです。

IMFの世界経済見通しに注目!インフレ鈍化の兆しか

大和証券チーフエコノミストの末廣徹氏は、今週注目すべきイベントとして、IMF(国際通貨基金)が発表する世界経済見通し(WEO)を挙げています。

IMFの世界経済見通しは3か月に1回発表され、グローバルに投資をしているファンドなどが特に注目しているとされます。各国の経済成長率を参考に、どの国にどのくらいの資金を振り向けるかを調整する際に重要な指標となります。

興味深いのは、IMFの数字が出る直前に、OECD(経済協力開発機構)も世界経済見通しを発表することです。OECDは先進国中心ではありますが、IMFと同じような分析になるケースが多いと指摘します。

今回のOECDの世界経済見通しでは、ここ2年間ずっと話題になっていたインフレについて、鈍化してくるのではないかという議論が集中していたそうです。末廣氏は、IMFも同様のテーマを取り上げるのではないかと予想しています。

世界的なインフレ傾向に変化の兆しが見えてきたのか、各国の経済政策や金融政策にも影響を与える可能性があり、IMFの世界経済見通しは注目です。

グローバル経済の動向を占う上で、IMFとOECDの世界経済見通しは欠かせない指標です。特にインフレ動向については、世界中の投資家や企業が注目しているとみられます。

今週発表されるIMFの見解から、今後の世界経済の方向性が見えてくるかもしれません。

IMF専務理事、低成長と債務問題を懸念 金融緩和への期待高まる

IMF(国際通貨基金)のゲオルギエワ専務理事が、世界経済の低成長と債務問題について懸念を表明しました。IMFは通常、春と秋に世界経済見通しを発表し、その間の夏と冬にアップデートを行います。

OECDのグラフを見ると、世界経済の成長率は右肩下がりの傾向にあります。特に中国の成長鈍化が顕著で、世界経済の成長を牽引することが難しくなっています。一方、アメリカはリセッションを回避できそうですが、停滞のリスクは残っています。

IMFのゲオルギエワ専務理事は、低成長に加えて債務問題も指摘しています。コロナ禍での財政出動により、各国の債務は増加しました。低成長下では、財政政策を使って景気を刺激することが難しくなっています。

この状況を打開するには、生産性の向上が重要だとゲオルギエワ専務理事は述べています。しかし、各国はすでに生産性向上に取り組んでおり、新たな対策を打ち出すのは容易ではありません。

そこで注目されるのが、金融緩和です。

リーマン・ショック後は、金融緩和に依存する傾向が強まりました。今回はインフレが問題となり、金融引き締めが行われましたが、インフレが落ち着けば、金融緩和に転じることができるでしょう。IMFやOECDが描くシナリオは、金利が下がっていくストーリーだと考えられます。

ただし、日本経済は他国と異なる動きを見せています。世界経済の動向を注視しつつ、日本独自の対策を講じる必要があるでしょう。