米エヌビディア本社のあるカリフォルニア州サンタクララで、大手データセンター開発企業2社の進めるプロジェクトが、地元電力会社の供給準備の遅れにより、数年間稼働できない可能性がある。

デジタル・リアルティ・トラストは2019年にデータセンター建設を申請したが、6年経った今も電力供給を待つ空き施設のままだ。また、スタック・インフラストラクチャーも近隣に48メガワット規模の未稼働プロジェクトを抱えている。市所有の電力会社シリコンバレー・パワーは供給能力の増強に苦戦している。

サンタクララにあるデジタル・リアルティが計画中のデータセンター

この2施設の停滞は、米ハイテク業界が直面する電力不足の深刻さを浮き彫りにしている。クラウドと人工知能(AI)の急拡大により需要は過去最高だが、老朽化したインフラと遅れている送電線の整備などが足を引っ張る。ブルームバーグNEFによると、AIコンピューティングの電力需要は2035年までに米国だけで2倍以上に増える見通しだ。

不動産仲介大手CBREグループでデータセンターソリューションを担当するエグゼクティブバイスプレジデント、ビル・ドハティ氏は「需要はかつてないほど高く、電力供給の問題に直面している」と語る。ドハティ氏は「一部のデータセンターは、人口密集地の近くでの設置に需要がある。カリフォルニア州はまさにそうだ。ただ、同州では電力供給能力が限られており、稼働が難しい」と説明した。

サンタクララ市議会が5月に説明したところによれば、稼働中または建設中のデータセンターは57施設あった。シリコンバレー・パワーは「追加需要に対応するため4億5000万ドル(約690億円)のシステム拡張を進めており、2028年完了予定だ」という。

デジタル・リアルティの広報担当者ジョーダン・サドラー氏は電力確保まで3年待ちは「一般的」だが、シリコンバレーなど需要の高い地域ではさらに長いと述べ、「サンタクララでは今敷地を見つけ、新たに電力を確保しようとしても、数年かかる可能性がある」と語った。

原題:Data Centers in Nvidia’s Hometown Stand Empty Awaiting Power

(抜粋)

--取材協力:Alicia Clanton.

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