資産を「現金化するリスク」と投資不安を解消する方法

「(新NISA制度が4月に開始した後の)このタイミングで相場がある程度振れたのは逆に良かったかもしれない」とも宮嵜さんは振り返ります。

「株式市場が好調だと、持っている投資信託がこのまま上がり続けると思い込んでしまう人が出てくる。リスク商品の値動きは大きいものだという理解を深める意味では良かったのでは」

その上で資産の売買のタイミングを、保有資産の種類とともに分散させることも視野に入れながら徐々に資産運用の知識を身に着けることがこれからは必要だと説きます。

末廣さんも同調します。日本人の海外投資が円安を招いているという話はマクロ経済レベルでは指摘されるものの「実は個々の日本人は円や日本のアセットをたくさん持っている比率が高い」のが実情とのこと。

それを踏まえ、もっと”外”に出ていくのがグローバルでは普通という見方を紹介します。

投資においては、収益を当初の元本に組み入れて再投資するサイクルを繰り返すことで利益が利益を生む「複利効果」が初心者向けの解説でよく聞かれます。

末廣さんは今回のような急な値動きにびっくりして金融資産をキャッシュ=現金化すると、その間は複利効果がなくなってしまうと指摘します。「キャッシュ化しているときもリスクをある種、取っている可能性があるのも頭に入れておくべきだと思います」

資産運用はどう不安と向き合うかであり、「一喜一憂は必ずするもの」と宮嵜さん。そこで、「なんで下がったのか、上がったのか。ちゃんと確認することで、不安感は相当軽減されます」

情報収集と”粘り腰”が肝要のようです。

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<取材協力>
伊藤忠総研 主席研究員 宮嵜浩[みやざき・ひろし]
大和証券エクイティ調査部 チーフエコノミスト 末廣徹[すえひろ・とおる]

(TBS NEWS DIGオリジナルコンテンツ「経済の話で困った時にみるやつ」より)