不確実な未来

  米企業とその経営陣に対するトランプ氏の考え方が、突如これまでになく重要になってきた。FRB、経済、その他世界中の重要な問題についてもそうだ。

  6月27日に行われた米大統領選に向けたテレビ討論会でのバイデン氏の失態は、現大統領の認知能力に対する疑念を一気に高め、民主党を危機に陥れた。その上、多くの世論調査でトランプ氏に明確なリードをもたらした。暗殺未遂事件を乗り越えたこともあり、すでに強固だったトランプ氏の政治的不可侵性をさらに強めた可能性がある。

  「討論会は確かに大きな影響を与えた」とトランプ氏は9日、電話取材で述べた。銃撃事件の4日前のことだ。「多くの州が今まさに結果を発表し始めているが、非常に大きな波が起きている」。

  バイデン氏が選挙戦から撤退すべきかどうか尋ねられると、トランプ氏は「それは彼が決めるべきことだ。ただ、彼が選挙戦に残るか撤退するかにかかわらず、わが国は大きな危機に瀕していると思う」と答えた。民主党の候補者リストのトップに立つ可能性があるとされているカマラ・ハリス副大統領についても、「あまり違いはないだろう。彼女についても、私はバイデン氏と同じように形容するだろう」と述べた。選挙日まではまだ数カ月あり、選挙戦の流れが変わる可能性は大いにある。

  とはいえ、バイデン氏の討論会での失態の数日前、マールアラーゴに戻ったトランプ氏は、高まってきた幸運の予感に乗りつつあるように見えた。インタビュー中、同リゾートで長く働く常務取締役が立ち寄ると、トランプ氏は10月に入会金を70万ドルから100万ドルに引き上げ、新たな会員枠を4つ設けると話した。おそらく、次期大統領に近づくことによる価値の高まりを示唆していたのではないか。

  インタビューの最後、トランプ氏は自慢げに「トランプはすべてにおいて正しかった」と書かれた帽子をブルームバーグ・ビジネスウィークに贈呈しようとした。トランプ氏のスローガン「MAGA(Make America Great Again=米国を再び偉大に)」のロゴ入り帽子の新バージョンだ。われわれは丁重にお断りした。最終的に判断するのは有権者だ。

(原文は「ブルームバーグ・ビジネスウィーク」誌に掲載)

原題:Trump on What He’d Do With Taxes, Tariffs, the Fed and More (Correct)(抜粋)

--取材協力:松田英明、内田良治、城塚愛也、渡辺漢太、野崎ひとみ、三浦和美、畠山朋子、岩城伸也、堀江政嗣、宮崎大.

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