初診の予約が4か月先…発達障害や精神疾患を患う子どもが増える一方、心のケアを行う専門医が不足しています。富山県では1人の医師が年間で延べ4000人を診ているケースもあったといいます。
慢性的な診療待ちを改善しようと、専門医の育成に乗り出す病院もありますが、子どもたちと向き合えるようになるには「最低で3年、最長10年かかる」という見込みも…最前線を取材しました。

南砺市にある児童精神科「こどものえがおクリニック」。

このクリニックは2021年6月に開設。当時はその地域に児精神科がなかったため開設してすぐに3か月先の予約が埋まりました。

心療内科が専門の高木英昌医師が週に一度外来診療を行っています。

記者:「きょうの予約は?」

こどものえがおクリニック 高木英昌医師
「23人ですね、初診の方おひとりと再診22人」

記者:「お昼はとれそうですか?」

こどものえがおクリニック 高木英昌医師:
「あんまり取れない日もあります。なるべく食べるようにしています」

この日の初診は1人。初診の予約が4か月先まで埋まっているといいます。

少しでも子どもたちと向き合いたい、しかし1人の患者に掛ける時間が長くなるほど他の患者を待たせてしまう…。

児童精神科医はそんなジレンマと戦っています。子どもの心の問題を診療する専門家は常に不足していて、医師は複数の病院を兼任しているのが今の現状です。

では、実際にどんな子どもたちが診察にくるのでしょうか。

こどものえがおクリニック 高木英昌医師:
「多いのは不登校ですね、学校いけない、行こうと思うとお腹痛くなっちゃうとか、夜寝れなくなっちゃうとか、人間関係がうまく築けないとか、その辺の悩みが多いですね」

去年、このクリニックを受診した患者は545人。14歳が最も多く、次いで6歳、13歳と思春期の時期に心のバランスを崩す子どもたちが多いといいます。