知っておくべきカロリーゼロ食品の「落とし穴」
メリットがある一方で、日常的に使いすぎることで私たちが陥りやすいデメリットや注意点について、大森先生は次のように話します。
大森聡准教授
「人工甘味料は非常に強い甘味を持つものが多いため、強い甘味に慣れることで、普段の甘味を物足りなく感じる可能性が指摘されています。ただし、この影響には個人差があり、十分な結論が出ていません」
また、このような見解も。
大森聡准教授
「一部の人工甘味料では腸内細菌叢に変化を与える可能性が報告されていますが、それが健康にどのような影響を及ぼすかについては、現時点では十分な科学的結論は得られていません。腸内細菌叢は一人ひとり大きく異なるため、影響にも個人差があると考えられています」

「カロリーゼロだから…」という心理的な油断もあると大森准教授はいいます。
大森聡准教授
「『ゼロのものを食べたから、少しくらいチョコは食べてもいいよね』と自分にご褒美を与えてしまう。ゼロを食べた安心感から、他のおやつを食べてしまい、結局は『差し引きゼロ』どころかカロリーオーバー(プラス)になってしまう。置き換えとしてのダイエット効果は期待できますが、(余計におやつを)食べたいがために(ゼロを)利用するというのは目的からずれてるかなと」

しかも『安全性』と『健康効果』は別に評価されるといいます。長期間の健康影響についてはまだ分かっていない点も多いため、どのように使うかということが重要だと大森准教授は話します。
大森聡准教授
「栄養士の立場としては、そのゼロキロカロリーが良いとか悪いとかではなく、やっぱり『使い道』かなと思います。目的が何かにもよりますが、健康になるために食べるものではないです。あくまでも、例えばこの夏プールに行くために短期的に頑張って体を絞りたい。でも食べ物減らすのは辛いなという人が、その力を少し借りるっていうのは効果はあるかなと思います」

2023年、WHO(世界保健機関)は「体重管理や生活習慣病予防を目的として、人工甘味料を積極的には推奨しない」という条件付きのガイドラインを公表しました。
「長期的なダイエットには効果はなく、むしろリスクを高める可能性がある」という指摘に大森准教授は、情報の受け止め方についてこのように話します。
大森聡准教授
「今回の話で言えば、WHOは人工甘味料を危険と評価したのではありません。評価したのは『健康づくりに役立つか』という点です。短期間では砂糖を減らす効果がありますが、その効果が長期的に続く十分な証拠はありませんでした。WHOのガイドラインにも、そのように記載されています。 でも、情報を受け取る際にバイアスがかかって、自分にとって『都合のいいところだけ』を切り取って、都合の悪い部分は無視して受け止めてしまいがちなんですね。やっぱり、その情報(WHOの提言)を信じるのであれば、自分が気に入った部分だけでなく、気に入らない部分(長期的には効果が出にくい、という点など)もちゃんと受けとめないとおかしいですよね。ですから、少し勇気がいりますが『自分にとって都合の悪い情報』もしっかり調べていくことが大切です」

「SNSのインフルエンサーなどは、基本的には自分の伝えたい情報を自由に発信している側面がある一方で、国が発信している情報などは、公的な責任があるものなので、メリットとデメリットの両方が必ず、偏りなく書かれています。ですから、SNSなどの情報だけで判断するのではなく、国が定めた基準や、WHOなどの公的な情報を「漏れなく見る」ということが大切です。『良い部分』と『悪い部分』の両方を見る癖をつける。 ゼロカロリー商品に限らず、何事においてもそういう情報の受け止め方が一番失敗がないのかなと思います」

カロリーゼロ食品との「スマートな付き合い方」
このように、カロリーゼロ食品は「何が目的で使うか」ということが大切だと大森准教授は強調します。
「ダイエットをする=健康になる」という思考に陥りがちですが、カロリーゼロ食品は健康になるために食べるものではありません。本来の目的を見失っていないか一度立ち止まり、賢く上手に取り入れていきましょう。










