地下鉄工事のスペシャリストが “ダム工事” へ

海外過労死で夫を亡くした 中江奈津子さん
大学の土木学科に進んで、大手建設会社に入りました。当初から希望していた海外事業部に配属になり、4年目から海外勤務が始まりました。海外のプロジェクトが終われば日本に帰り、また海外に出てを繰り返して、25年間の会社員生活で、国内と海外がちょうど半々ずつぐらいでした。

夫は国内でもインフラの整備の仕事をしていました。皆さんもどこかで利用されているかもしれません。海外5か国で働きました。バンコク、ドバイ、ジャカルタで、その国で初めての地下鉄工事の現場監督でした。

国内では若手に任せてもらえない大規模な工事です。夫が海外勤務を望んだ理由の一つです。土木工事は、建造物によって工法が全く違い、だんだんとその人の専門性が出てくるのですが、夫は会社や同僚に“海外での地下鉄のスペシャリスト”とみなされていました。

しかし、亡くなったラオスだけ、ダムの工事現場でした。