■医学が発達しても、50年前の検査方法なのか…



手続きに行った女性の息子も、県の職員から「骨生検をしない人はほとんど認定されていない」と説明を受けたといいます。



息子:
「(県の職員から)骨生検をしないと認定されないのが圧倒的に(多い)といわれたから。この医療の発達した現在の医者が、昔50年前と全く同じことをやっているのはおかしいんじゃないのと」


女性:
「そんな痛い目にあうのイヤわ、この歳になってから。どうせそんなことしたら、動けなくなって病院生活になるからと思って嫌だった。家にはいられないと思って」

体への負担を考え、女性は骨生検を受けませんでした。

それでも、ことし7月の認定審査会。女性が7年ぶりにイタイイタイ病患者として認定されました。青島医師によると、血中のカドミウムの値や腎臓障害などから骨生検なしでも症状が認められたとみられます。



青島恵子 医師:
「ようやくね。でもほとんど(患者)いないときになってね。認められなくてそのまま亡くなった方っていうのは大勢いたと思いますね」

審査会のメンバーは原則、患者を直接診ることはありません。

青島恵子 医師:
「本当は診察とかしていただけると一番いいですよね。実際に診ていただければね。歩き方とか寝たきりになってるのかとか。超高齢者しかならないという現状も踏まえて。深い洞察力がいると思います」

裁判の勝訴からことしで50年が経ちました。被害者団体で初代代表を務めた小松義久さんは2010年に亡くなり、今は娘の雅子さんがその役目を引き継いでいます。

イタイイタイ病対策協議会 小松雅子 代表:
「ちょうど50年という大きな節目に、今もなお患者さんが発生するという、大変重いことだと思っています。公害が起きたこの被害地に終わりはないと言わざるを得ないんですけど、そういう中でしっかりと受け止め、課題は課題として向き合っていかなければならないと」



女性:
「久しぶり、何年ぶりだわここへ来たの」
「あんまり水も飲んではいけないんだったなと思う。だけど仕事したら喉渇くからつい川へ行くやろう。わからないもんでさ。こんな始末だちゃ」



カドミウムによる健康被害を受けた人は確認できるだけで1000人近く。それも氷山の一角を示しているにすぎません。



息子:
「まだまだ隠れたイタイイタイ病患者さんがいると思うから、これをみんなで救っていかないといけない」