■そんなもの寝て起きれば治ると我慢ばかり…

45歳ごろから脚などに痛みを感じ始めましたが、自分がイタイイタイ病だとは考えませんでした。

女性:
「痛いけど、田んぼばっかりしていたろう、農家で。そんなもの寝て起きれば治るわと、我慢ばっかりしていた」



息子:
「転んで骨盤骨折したときも自分で歩いてくるから。ひきずりながら。足ぶらんぶらんしているんだよ。そこまで我慢して、ずっと生活しているのはちょっと異常…」

記者:
「どこらへんが痛いんですか」

女性:
「やっぱり脚を曲げたり伸ばしたりするとき、この筋というもんかね、突っ張って痛いような感じがする」「気休めかね。これ(湿布)貼っていればそんなに痛くないから、毎日貼っている」



去年、同居するようになった息子がイタイイタイ病を疑い、初めて専門医のいる病院を受診させました。

女性はこれまで富山県が神通川流域の住民を対象に行う健康調査も受けていて、精密検査を求める結果が出ていましたが確認せずに放置していたといいます。

診察:
「おはようございます」
「左のここの痛みはどうですか」

女性:
「まだ少し痛いね。前からみれば痛み少しとれてきたけど湿布薬はっている」

イタイイタイ病研究の第一人者である青島恵子医師は、すぐに女性の症状をイタイイタイ病だと見抜きました。



イタイイタイ病研究の第一人者 青島恵子 医師:
「典型的なイタイイタイ病でしたよね。経過からいっても」

女性はまもなく認定手前の「要観察者」とされ、ことし1月、息子が認定を求めて県に申請。患者として認められました。



青島恵子 医師:
「ああ、ようやく本当の意味で救済できたなってすごくうれしかったですね。以前はもっと厳しかったですよね、骨所見の判定とかが。だから一瞬危惧はしてましたね。骨生検しないと認められないかもしれないなと」



県の患者認定制度は1967年に始まりました。認定の要となってきたのが、骨生検です。腰の骨を削り取って調べるため体に負担がかかる一方、認定に必要な骨軟化症の症状をはっきりと示すことができます。骨生検で症状を証明しなければ、認定されないことも多かったのです。