辛いのは、周りの大人に理解されないこと…
孤独で恐怖な時間を何とかやり過ごし、山口さんは高校生になって野球部に入ります。しかし、そこで再び “恐怖の時間” が待ち受けていました。それは野球部の合宿中のことでした。
『きゅうけん|月刊給食指導研修資料』編集長 山口健太さん「白米の量を朝に2合食べて、お昼に2合食べて、夜に3合を食べなさいっていうノルマがあって、食べられなかったんですよ。そうしたら指導者に「お前なんで食べられなかったんだ」と、みんなの前で怒られて、それがあってから、また今回も食べられなかったらどうしようと不安が強くなって、ご飯一口、頑張って食べるんですけど、それがずっと、口に残っちゃう。喉を通っていかないんですよね。嚥下障害みたいな感じになってしまって…」

このときから山口さんは、人と食事をする際、食べなければいけないという“プレッシャー”を感じるようになりました。食事への不安は、部活動の時のみならず、友人との食事にも影響が…。
一人だと普通に食べられますが、誰かがいると喉を通らなくなるだけでなく、吐き気やめまいなどの症状が出るようになりました。
次第に人との食事の場を避けるようになりました。誰かと一緒に食事をすることに強い不安や緊張を感じる「会食恐怖症」という心の病気だったのです。
『きゅうけん|月刊給食指導研修資料』編集長 山口健太さん「食べられない時に1番辛かったのは、栄養がとれなかったことではなくて、周りの大人に理解されないことでした」