観客席は満席、いよいよ幕が上がります。

「さっきの地震で津波が来るかもしれん、みんな八幡様へ逃げなされ」「こちらももう、村人の姿はありません、八幡様に向かったのでしょう」

秋祭りの日、村を大きな地震が襲いました。

「さっきの地震はただもんじゃねえ、本当に津波が来たらどうしようと思ったら怖くなっちまってさ…」「お前、何言ってんだよ、津波の中を泳いでいる奴なんて見たことねえ津波が来たらみんなひと飲みにやられちまうって決まってる」

主人公・梧陵の呼びかけで、高台に避難した村人たち。

その時、津波が村を襲います。

「来たぞ、見ろあれを!」「津波だ!」「本当だこりゃいかんみんな津波に飲み込まれちまう」「堤防を越えたぞ!」

見えない津波を体全体で表現する生徒たち。

災害時に、身を守り、避難することの大切さ。

「だから、皆の力をお借りしたい」「もう一度、やり直すだ!なあ」「おらもやる!」「皆の力を合わせて津波に強い広村を作ろうじゃないか」

困難に立ち向かい、仲間と力を合わせて再び立ち上がる強さを伝えた手話劇に、観客からは大きな拍手が送られました。

(観客)「見ていて感動して、みんなすごくいい演技で体全体を使っていてしっかり伝わってきて」

「とても感動しました。本当に子どもたちがやっているようには見えないくらいひとつひとつ最後まで言葉を大事にしてくださっているのが心に響くんですよ」

(主人公役・服部幹さん)「最後の演劇だったので後悔なくできたかなと思います。きょうの出来は最高の演技でした」

「自分は、人の前に立つと委縮してしまうところがあるので、この演劇を通して堂々と発表できたというところを生かしていきたいなと思います」

人に「伝える」ということに、とことん向き合った4か月間。

手話を超え仲間と高め合った表現力は、かけがえのない財産と言えるのかもしれません。