講演に耳を傾けたのは当時はまだ幼かった全校生徒162人。毎年、現場での慰霊を続けている学校側からの依頼で、初めて開かれました。

田原さんの妻・由起子さんは、寛さんの写真を紹介しながら、思い出を語りました。


田原由紀子さん:「わずかこの(成人式の)4日後に、19歳で事故に遭ってこの世を去ってしまいました。今でも息子の命を奪ったバス会社が許せない気持ちと二度と起こってはならないと願っています」

また、長男の陸人(りくと)さんを亡くした大谷慶彦さんは、生徒に問いかけます。


大谷慶彦さん:「この事故は誰が悪いと思いますか?」
生徒:「バスの運行会社だと思っています」
大谷慶彦さん「中には安い運賃を選んだ、乗った、若者たちだという意見もありました。誰が好んで危険なバスに乗ろうとするでしょうか。誹謗中傷も非常に多かったです」

再発防止を願う遺族は、高校生に交通安全を呼びかけ、命の大切さを伝えました。

田原義則さん:「あの事故があったというのを忘れられないような、一つのきっかけになると思うので、広く話し伝えていってもらえればと思いました」

生徒:「実際に遺族の方の話を聞けて、より詳しく、どういう気持ちで、事故の後を過ごしているのかを知れて、これからより一層交通安全について考えようと思いました」

事故を巡って、長野地裁は2023年、業務上過失致死傷の罪で、運行会社の社長と、当時の運行管理者に対し、実刑判決を言い渡しました。


被告側は控訴し、控訴審の初公判が11月17日に東京高裁で開かれます。