実は、JA広島中央にとって「植えない田植え」は初めてではありません。


4年前にはイネの種に鉄粉をまぶした鉄コーティング米をドローンでまく実験もしました。結果は?


柴田和広記者 2018年
「びっしりイネが生えています。もう豊作というか、こんな田んぼ、見たことありません」


イネの成長もよく、実用化されたものの、代かきと種まきの間に時間が空いて、雑草がよく生えるため、あまり普及しませんでした。

今回は、代かきと同時に種をまくため、雑草もあまり生えず、さらに一手間、省けます。


農家
「究極の方法だと思う」

ファーム西田口 柏尾博明代表
「究極のコスト削減には、これが課題解決する大きな手法だと思う。大いに期待している」

しかし、課題もあるようです。


郷曽 脇田茂行理事長
「欠点が1点ほどあるのは、スズメが拾うんです」


大雨が降るなどして、種が土の上にむき出しになったときが危ないということです。実験に協力しているこの農家も去年、スズメの被害に遭いました。


農業 大下博隆さん
「雨がちょっと強く降ったということもあって、少し種が表面に出ちゃったんでしょうね。スズメがどんどん集まり始めて、7割くらい食べられてしまった」

ことしはだいじょうぶなのでしょうか?


JA広島中央 河野孝行組合長
「(田んぼに)水を張って、雨にたたかれないように対策を打つ。十分できるだろう」

「植えない田植え」の田んぼは無事、実りの秋を迎えられるのか、多くの関係者の目が注がれています。


― 将来、ひょっとすると「田植え」という言葉がなくなって、「田まき」になるかも知れません。コメ作り農家にとっては肥料や農薬などの農業資材の値上がりもたいへんで、相当な危機感を持っています。今回の実験、技術的な課題は、ことしの結果を見ないとわかりませんが、コメ作りの形が変わっていきそうな予感も…。