本名正憲 アナウンサー
サミットの印象ですが、中曽根さん・安倍さんあたりが強かったかなと。

広島市立大学 国際学部 武田悠 准教授
そうですね。最近だと安倍さんはやっぱり(任期が)長かったってのは、なによりも大きいですね。特に後半になると、ほかの国の首脳より安倍首相の方がよっぽどG7サミットのことに詳しいっていう状況になるので、トランプ大統領になんとか説得して譲歩を迫る役を安倍さんが担ったっていうのは、安倍・トランプ関係ももちろんあるけれども、安倍首相の経験というものをすごく生きていたと思います。やっぱり外交ってのは、長くやった人の方がいいんですよね。中曽根首相・安倍首相は、経済ではないんですけど、安全保障の方でけっこうサミットの中で大きな役割を担ったっていう感じがします。

本名アナ
岸田さんについてはこれからということになりますけれども、外相経験が豊富ということで期待してよろしいですか?

武田悠 准教授
と思います、わたしは。外相経験が長いというだけじゃなくて、ご自身で熱心に核の問題を中心に勉強されていらっしゃるし、あと英語がけっこう上手なんですよね。聞いていて、とても自然な英語の使い方をしていて、ネイティブじゃないんですけど、すごく聞き取りやすい英語をしゃべっておられて、おそらく岸田首相ってたぶん、ほかの外国の人と英語でしゃべるのに抵抗感がないんじゃないかなと思います。サミットのように首脳の力が試される場では生きるんじゃないかなと思います。

本名アナ
広島選出という点、あと英語に堪能というと、宮沢喜一さんが思い浮かぶんですけど。

広島市立大学 国際学部 武田悠 准教授
そうですね。宮沢さんの英語っていうのは非常に有名で、たとえばイギリスの外務省の資料とかを見ていると、サミットを日本でやるというときにやっぱり英語が不安だよねというのが残っているんですね。イギリスらしい嫌味な言い方をしているんですけど、はたして日本外務省にその声明文書は書けるのかみたいなことを書いていて、それは外務省の人だからだいじょうだろうと思うんですけど、イギリスに言わせると、おかしな英語が時どき、出てくるそうで。ただ、例外は宮沢喜一さんで、たとえば首脳同士の話し合いになったときにどうするんだと。いや、宮沢がついてくれるからだいじょうぶじゃないかみたいな文書が残っていることがあるんです。そのくらい、宮沢さんの英語は信頼されていた。ただ、宮沢さん自身、首相としてサミットに出たときの評価って不思議とあんまり高くないような印象があります。もしかしたら宮沢内閣は、自民党政権の一番最後、1993年に崩壊する直前でした。国内的にやっぱりあまり力がなかったので、いろいろと小沢一郎さんとか、はい。自民党のほかの政治家が力を握っていたっていうことは、もしかしたらあるかもしれません。つまり、実権を誰が握ってるのかが不透明というときには、いくら英語がうまくても、なかなかということはあると思います。

(RCCラジオ「おはようラジオ50周年企画 G7広島サミット直前スペシャル 広島の声」5月14日(日)放送より)