サッカー王国広島が歩む地方クラブの理想像へ
就任4年目はルヴァンカップを含め国内3大タイトル全てで上位の成績を残したスキッベ監督。ときには試合後の会見で審判に対しての不満を口にして処分を受けたこともあったが、そんな指揮官が就任してから一貫していたのは試合翌日に基本的にはオフ(時には連休)を選手に与えコンディション調整を任せたことだった。その分、責任は選手に芽生えていた。

またファン感謝デーではカフェの店員に扮して笑顔で接客したスキッベ監督。ピースウイングそばにある広島城を散歩している姿の目撃情報もよく耳にした。
古くからサッカー王国の一つとも言われた街=広島。クラブにとっても転換期、広島の街を変えたサッカースタジアムの開業前後のシーズンを託されたドイツ人監督が結果を残せなければ、負のスパイラルに陥る可能性もあったのかもしれない。
それでも様々な重圧をはねのけ、適材適所の積極補強とユース出身選手を育成しながら再び常勝チームを作り上げた。新スタジアム元年の売り上げは前年の2倍に近い80億円超え。浦和・川崎・神戸に次ぐ4位となり、スタジアム環境だけでなくフロントスタッフも含めて地方クラブとしての理想的な成長を遂げた。

スキッベ監督は12月6日のホーム最終戦でサポーターに直接メッセージを届ける予定で、12月10日のACLエリートの試合が最後の指揮となる。アジアの頂点を目指す戦いは年をまたいで続くが、スキッベ監督の築いた攻撃なサッカーをベースに新たな指揮官がどのようなエッセンスを加えてくれるのだろうか。
そして…スキッベ監督といえば試合後の円陣。最後はいつもこの言葉だった。『Dankeschon』(ダンケシェーン=ありがとう)
この言葉をサポーターの一人として送りたい。
文・石田充(RCCアナウンサー兼スポーツディレクター)


































