友人と一緒に空を見上げていたとき「ピカっと光って…」

女学生のときの大橋さん

当時、大橋さんは、1年生の12歳でした。8月6日、爆心地から約1.5キロの場所で、建物疎開の作業をしていました。

午前8時15分、上空の飛行機に気付き、仲の良かった友人と空を見上げている時でした。

「ピカっと光って、ドンと大きな音ととともに、辺りが真っ暗になりました」

大橋さんは、とっさにその場に伏せたといいます。しかし、隣にいた友人は…。

12歳で被爆した大橋和子さん
「両手にがれきを持って、ちょっと足を開いて、仁王立ちのように空を見上げていました。おそらく即死だったと思います。私はその子の後ろから、影から飛行機を見ていた。その子のおかげで助かったんだと、今でも思っています」

その後、市内を逃げ惑いました。「おかあさん、おかあさん」泣きわめく声。子どもを守ろうとしたのか、我が子に覆い被さるように倒れている母親の姿。そして、傷ついた人たち…。

大橋和子さん(92)
「そのときの状況を表す、1番分かりやすい言葉がどういう言葉か、何度も何度も考えました。でも未だにその言葉を考えることはできません。とにかく、人間の目で見てはいけない状態でした」