中台では「ボールは台湾にはない」

【記者解説】
国力に大きな差がある中国・台湾の間にただ対話を求めることは簡単ではありません。年々増える中国の国防費は去年2300億ドル、日本と比べても4倍に相当します。

今月、那覇市で開かれたシンポジウムに登壇した台湾国防部傘下の研究者は、中国軍機の領空侵犯が近年非常に増えていると述べ、こうした圧力のなか対話の「ボールは台湾にはない」と話し、軍事的圧力があるままでは対話にならないという危機感を示しました。

これに対し日本は今、さらに中国の3.6倍の軍事予算を持つアメリカとの同盟と反撃能力の保有によって、中国の追随を許さない道を選ぼうとしています。

東京大学の松田教授は「中国は、最初は武力行使ではなく武力を背景に台湾を屈服させることを目指す」と予測する一方、「台湾が屈服するような軍事力とは、実際に使っても勝てる軍事力」と指摘します。

そのため、中国が軍拡を諦めるまでの日米も対抗が必要だとして、そのスパンはおよそ10年と見通していて、日本が抑止力を強化すれば中国もさらなる軍拡に進み、ますます対話は遠ざかると懸念されます。

これが台湾も沖縄も戦場にしないために、本当にいい選択なのか議論が求められています。